文系、理系の壁

芝浦工大・大坪隆明理事「『理系女子はお得』情報が浸透していない」

2021.10.14

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中村 正史
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企業は理工系女子から採用しようとする

――海外では社会科学の方に学生が集まっていますけど。

その一方で、女子の興味、関心の範囲は広がっています。環境問題や人権などSDGs(持続可能な開発目標)の分野です。今の子どもたちは小学校から探究の時間でこうしたテーマになじんでいます。このような課題には、文系と理系の両方の学問が必要で、そういう分野に若い人が興味を持つようになっています。しかし、そのような社会の課題解決のために、大学では何を勉強すればいいのか、どの学部・学科に進めばいいのか、道筋がわからないのが現状です。

女子は食や生物、衣服、住居などへの関心が高いです。社会との接点がある分野には、男子より興味があります。しかし、例えばフードロスに関心があっても、いざ大学受験となると、この学部・学科がいいと薦められるところがなかなかありません。社会との接点に関心があっても、行き場が提示されていないのです。

一例として挙げたフードロスのほかにも、人権、貧困、環境などの問題には、様々な学問体系が絡み合っています。最近は、大学でも複合的な学問を学ぶ学部・学科がいろいろと出てきています。しかし、難関大学を中心に、従来の学問体系にのっとった教育体制を続けているところが少なくありません。理系に進む女子を増やすには、中間層の女子をいかに取り込むかが大事ですが、この増やすべき層の女子が行き場に困っているのです。理工系の大学・学部でも、学問を融合した学科ができ、ここに行けば文系的な社会問題を解決することができるとわかるようになれば、女子は増えると思います。

――芝浦工業大学は就職がいい大学として知られていますが、特に女子の就職がいいと以前から聞いています。

企業は理工系の女子の採用意欲が高く、自動車や電機などのメーカーは、顕著に女子から採ろうとしています。女性の技術者をほしがっていて、女子向けの会社説明会を開いているところもあります。

機械、電気などは女子が少ない学科ですが、芝浦工業大学の中でも、機械、電気の女子は特に引く手あまたの状況です。企業は優秀な女性を入社後も逃さないようにするために、仕事を長く続けられる環境を整えています。技術者、研究者の女性はお得ですよ、と広く伝えたいです。

こうした就職や仕事の情報が中高生の女子に伝わるといいです。できれば高校の文理選択前に知ってほしいです。大事なのは保護者に情報を知ってもらい、お子さんに伝えてもらうことです。

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