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fair代表・松岡宗嗣さん 愛知県立昭和高校 「常識」への疑いをぶつけさせてもらえた

2021.10.14

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中村 千晶
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人生が大きく変わったのは大学時代?

はい。まず高校を卒業したとき、友人にカミングアウトしました。スムーズに受け入れてもらえたこともあり、大学では最初からカミングアウトしようと決めました。なかには「気持ち悪い」など差別的な反応もありましたが、コミュニケーションを重ねることでうまく付き合えることが多かったと思います。家でも父は受け入れるまでに時間がかかったようですが、母はなんとなくわかっていたようです。母はいま愛知県を中心に、学校などで性的マイノリティーに関する啓発を行うNPOで活動しています。

大学では性的マイノリティーの学生サークルに入り、ジェンダー研究が専門の田中洋美先生に出会えたことも大きかったです。日頃感じているジェンダーやセクシュアリティーに関するモヤモヤや息のしにくさの裏にある社会の構造を教わりました。同時にサークルやNPOでの活動を通じて多くの性的マイノリティー当事者と出会い、今まで生き延びることができた背景にさまざまな幸運があったことを実感しました。育った環境や家族の無理解などで、困難に直面する人が非常に多い現実があり、それは法制度や社会規範の問題とリンクする。卒業後に政策や法制度などの情報を発信するfairを立ち上げ、活動をしています。

何が改善されるべきでしょう?

現在の日本では性的マイノリティーに関する法制度がほとんど整備されていません。例えば性的指向や性自認に関する差別的取り扱いを禁止する法律がないことは大問題です。同性婚も世論の賛成の割合は高いのに、政治の場では認めない考え方が根強くあります。「同性愛は病気だ」とか、トランスジェンダーのアイデンティティーを否定するような発言をする議員もいます。当事者の命をおとしめる行為で、許せません。私の根底には「生きやすさを運命に委ねたくない」という思いがあります。たまたま出会った相手の知識の有無や環境で、命や生きやすさが左右されてほしくない。

当事者の子どもたちにはまず「生きづらいと思っているとしたら、それはあなたのせいじゃない、社会の側の問題だ」と伝えたいです。親御さんには「性的マイノリティーの当事者も、その人なりの生き方や幸せの形がある」と知ってほしい。多様な性のあり方を想定しつつ、一人ひとりとしっかり向き合うことが大切だと思っています。

写真/高野楓菜(朝日新聞出版写真部)
写真/高野楓菜(朝日新聞出版写真部)

愛知県立昭和高等学校

男女共学。9割が4年制大学に進学する。卒業生に斎藤大輔 (元サッカー選手)、野沢尚 (脚本家)、常田真太郎(スキマスイッチ・ミュージシャン)、中江友紀(俳優)らがいる。

【所在地】名古屋市瑞穂区玉水町1-18

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