親と子のコミュニケーション術

子どもの学力を伸ばすほめ方・叱り方とは 大事なのは「結果」より「行動」

2021.11.02

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佐々木 正孝
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つい子どもを叱ってしまい、後味の悪さを感じてしまう。中学受験に臨む子どもをサポートしていると、よく訪れる瞬間です。改善すべきところを指摘して、良くなってほしい一心なのに、どうして親子ともに嫌な気分になってしまうのでしょうか。中学受験専門塾伸学会代表の菊池洋匡さんに子どもの学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツを聞きました。

Hirotada_Kikuchi

話を聞いた人

菊池 洋匡さん

中学受験専門塾伸学会代表

(きくち・ひろただ)算数オリンピック銀メダリスト。開成中学校・高等学校進学後、慶應大学法学部を卒業。塾講師として10年のキャリアを積み、2014年に伸学会を設立。自由が丘校、目黒校、中野校の3校舎を運営するほか、オンライン指導も手がける。著書に『「しつけ」を科学的に分析してわかった 小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』(実務教育出版)など。

漢字もゲーム感覚で覚えたら、こんなに楽しい! 原点の記憶

――開成中学校に合格した菊池さん。ご自身の中学受験を振り返ってみて、どんな子ども時代でしたか?

学校でも塾でも、ついよけいなことをして叱られる典型的な悪ガキでした。勉強に取り組むという点では、あまりいいとは言えなかったかな。楽しいことは一生懸命に取り組むけど、苦手だったり嫌いだったりすることには、コツコツと取り組めない。そんな子どもでした。

例えば、国語の読解問題はすごく得意だったんですが、漢字を覚えることには前向きになれなかったんです。あるとき、塾の国語テストでクラス1位の点数を取ったんですが、塾の先生に叱られました。「文章問題は全部解けるのに、なぜ漢字問題で3問もミスしたんだ? 覚えたらいいだけじゃないか!」と。しかし、先生の一喝で私のやる気が出ることはありませんでした。

ただ、ある出来事から漢字を意欲的に覚えていくことになります。それは、小学校の先生が考えた、ちょっとしたイベントでした。先生は漢字ドリルの結果をもとに、大相撲のような番付表をつくってくれんたんです。表は点数に連動していて、70点以上を取ると前頭、合格点を取り続けると小結に、5回連続で満点を取ったら横綱に昇進、といった仕組みがありました。

がんばればがんばるほど番付、つまりランキングが上がっていくわけです。「そうか、ゲームみたいに考えたら、漢字を覚えるのってこんなに楽しいんだ!」と思いました。このワクワク感は忘れられないですね。

私の経営する塾では「勉強をゲームみたいに考えてみよう」と子どもたちによく話します。その思いは小学校の原体験からきているんです。

――菊池さんは算数オリンピック銀メダリストにも輝きました。算数の問題へのチャレンジも、ゲームのように楽しく考えられたのでしょうか?

そうですね。私の両親は自営業をしていました。店番をしていた母は、時間ができると暇つぶしによく数字パズルで遊んでくれたんです。私は学校から帰ると、母と一緒にそのパズルを解いて遊ぶのを楽しみにしていました。一方、父とは囲碁や将棋を指して遊びました。

今にして思えば、それらを通して思考力が養われたのかもしれません。私が中学受験の塾に通い始めたのは小学5年生の春からで、やや遅めでしたけど、すぐに他の子たちを追い越し、算数オリンピックで銀メダルを取り、開成中学校に合格しました。それは生まれ持った能力によるものではなく、遊びとして取り組んでいたことが、たまたま受験に生きただけじゃないかな、と思っています。

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