STEAM教育

美術館、鑑賞法がわかればグッと奥深い体験に 多くの人は「作品」を見ていない?

2021.10.27

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夏野 かおる
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「本物に触れさせたい」と美術館見学を考えるものの、「そもそも、作品の正しい鑑賞法が分からない」「子どもがマナーを守って鑑賞できるか心配」と尻込みするご家庭も多いのでは。芸術の楽しみ方は自由とはいえ、鑑賞法を知っていれば、体験がグッと奥深いものになります。親子でチャレンジしたい芸術鑑賞について、有識者に聞きました。

Norie_Mitsuki

話を聞いた人

三ツ木 紀英さん

アート・エデュケーター/ NPO法人芸術資源開発機構 代表理事

(みつき・のりえ)
NPO法人芸術資源開発機構 代表。2000年から美術施設や福祉施設、街での展覧会企画やアートワークショップのコーディネーションに携わる。2011年にニューヨーク近代美術館の元教育部長のフィリップ・ヤノウィンから一年にわたり、Visual Thinking Strategiesを学び、2012年から各地の美術館や行政、教育機関からの依頼で、美術鑑賞ファシリテーターの育成に携わる。2021年 東京大学大学院 学際情報学府にて修士課程を修了。共著に『現代アートの本当の楽しみ方ー表現の可能性を見つけにいこう』(フィルムアート社)、『現代アートの本当の見方-見ることが武器になる』(フィルムアート社)など。

多くの人は「作品」を見ていない? キャプションばかり読んでしまう大人

——「芸術の秋」が訪れ、美術鑑賞にチャレンジしてみようかなと考える方は多いように思います。ただ、勝手な思い込みかもしれませんが、美術史に関する知識がないと、美術館を充分に楽しめないのではないかと不安になります。実際のところはどうでしょうか。

確かに、そのような不安を抱く方は多いようですね。美術との向き合い方について、ひとつ面白いお話をしましょう。それは、「人は本当に絵を見ているのか?」という問いです。

美術館に行くと、多くの方は、作品についているキャプション(説明文)を熱心に読みはじめます。「なるほど、こういう技法が使われているのか」などと、知識を吸収しようとするわけです。

では、肝心の作品をどれだけ見ているかというと、たった十数秒しか見ていない人も多いのだとか。キャプションの内容を踏まえ、「確かに、この技法が使われているな」と確認して、すぐに次の絵へ行ってしまうのだそうです。どうでしょう、思い当たる経験はありませんか。

――思い当たりますね……。

この話に代表されるように、多くの方は美術館を“知識を得る場所”と感じているようです。しかし、キャプションの情報を再確認するだけの行為は、果たして充分な鑑賞と言えるのでしょうか。おそらく、それは違うと感じるのでは。

美術鑑賞で大切なのは、“作品そのもの”とまず、向き合うことです。もちろん、知識があることで鑑賞の奥行きが増す場合もあるでしょうが、「知識がなければ楽しめない・理解できないのでは」と心配しなくても大丈夫。実際に、私たちが主催するワークショップでは、「対話型鑑賞」という、知識がゼロの状態から作品を鑑賞する方法をとっています。

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