習い事の選び方

「スケボーを始めたい」と言われたら… 五輪で愛好者倍増 マナーを守って楽しんで

2021.10.28

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夏野 かおる
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オリンピックでの競技風景で一躍注目を浴びた「スケートボーディング(スケボー)」。現在は自治体主導でパーク整備が進んだり、教室ができたりするなど、習い事としても人気のスポーツとなりつつあります。一方、保護者としては事故や怪我、騒音などの心配もあるでしょう。子どもが興味を持った際に安心して取り組むため、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。一般社団法人日本スケートボード振興協会理事の本間章郎さんにお話を伺いました。

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話を聞いた人

本間 章郎さん

一般社団法人日本スケートボード振興協会 理事

(ほんま・あきお)一般社団法人日本スケートボード振興協会の理事を務める。実力ある選手を世界のシーンに送り出すサポートをはじめ、シーンの活性化、選手のレベルアップ、スケートボードの魅力を伝える活動に取り組む。ならびに、地域の環境やシーンに合わせた適切なスケートボードパークの設計や施工のアドバイスを行うことで、スケートボードを取り巻く環境整備を進める。

絶大だった五輪効果。自治体主導でスケボーパーク整備も

——そもそも日本では、スケートボード(スケボー)はいつ頃から楽しまれていたのでしょうか。また、現在のシーンの動向はいかがでしょうか?

スケボーの発祥地はアメリカですが、その始まりについては、実ははっきりしていません。子どもの遊びだった説や、サーファーたちが陸で練習するための道具だった説が囁かれています。

そんなスケボーが日本に入ってきたのは1970年代。当時はいわゆるアメリカブームで、服装でいえば、ヒッピーファッションが流行した時代でした。さまざまな文化が一気に輸入され中のひとつとして、スケボーもやってきたのです。

では、現在の日本のスケボー文化はというと、東京オリンピックの決定時に調べたところでは、愛好者の人口は40万人ほどいたようです。今では、メダル獲得の追い風を受け、およそ100万人にも及んでいるのではないかと推測されます。

もちろん、愛好家のすべてが競技志向なわけではなく、選手をめざす割合はごくわずかです。でも、今後はカルチャーとしてだけでなく、競技シーンも盛り上がっていくのではないかと見ています。

——五輪のお話が出ましたが、正式競技となったことで、どのような影響がありましたか。

端的に言えば、「見られ方が変わった」と感じます。これまでのスケボーは、子どもの遊び、ひいては不良の遊びと言われてきました。愛好家にはティーンや大人が多いため、学校や仕事が終わってから練習しようとすると、どうしても夜になってしまうんです。そこへ、騒音の問題もあいまって、とくに自治体からは、どうしてもよい顔をされませんでした。

そのため、これまではスケボーの練習をしたくとも、適切な場所が見つけづらかった。公園はスケボー禁止になっているケースが多く、練習用に整備されたパークがあるわけでもない。世界的に見て、日本のインフラ(練習環境)は最悪レベルでした。サッカー場や野球場と比べれば、スケボーパークにそれほど面積は必要ありません。それでも整備されなかったのは、やはり“不良”のイメージが影響していたのだろうと思います。

ところが、五輪競技になり、選手たちが活躍し始めると、かたくなだった自治体の姿勢がほころびはじめました。ときには、協会として、「自治体主導でパークを整備したい」というご相談をいただくこともあります。スケボーパークは形が決まっているわけではないので、ある程度スケボーを知っている人でないと、設計が難しいんです。ジャンプして着地しても、すぐ目の前が壁といったパークではルーティーン(演技の流れ)が組めないですし、何より衝突の危険があります。そのため、予算の範囲内でより良いパークが実現できるよう、適宜アドバイスをしています。

もちろん、五輪の影響は子どもたちにも広がっています。僕自身も、渋谷区や武蔵野市でスケボー教室を開いているのですが、訪れてくれる子どもの数は、なんと昨年対比約280%に増加。他の愛好家からも同様の話を聞きますね。中には武蔵野市(東京)のように自治体主導で教室を開くケースもあり、なかなか予約が取れないほど人気なのだとか。このように、いろいろな面で、大きな変化を感じています。

——自治体主導で整備が進むというのは、非常に大きな変化ですね。ただ、そうなると、地域住民の感情として、騒音の問題を気にされる方が多いのではないかと思いますが……。

日本で「スケボー=騒音」と捉えられやすいのは、時間帯のほかにも、道路の性質が起因しています。アメリカなどでは、歩道はコンクリート舗装なことが多く、走行しても音が出づらい。対する日本はアスファルト舗装で、凹凸がある分、「ガーッ」と音が出やすいのです。ウィール(車輪)の材質に気を遣えば音が出づらくなるのですが、実際のところは敬遠されているのが現実でしょう。かつて、「バイク=暴走族」とみなされがちだったのと似ています。

ですから、協会としては、愛好家たちへのマナー啓発活動もしっかり行なっています。人の迷惑にならないように配慮することは、スポーツの種類に限らず、人として当たり前のマナーだからです。高架下のように、音が問題になりづらい場所を選んだり、私有地を侵害しないよう注意したりすることが、愛好家側にも求められると思います。

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