文系、理系の壁

昭和女子大附属昭和中高校長・真下峯子さん「女子校で理系教育に力を入れる理由」

2021.10.18

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中村 正史
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日本は高校の文理選択で文系、理系に分かれ、大学でも文理が交わることが少なく、社会人になっても文系、理系の意識を持ち続ける人が少なくないといわれます。大きな課題の一つは、女性の理系進学がなかなか増えないことです。そうした中、理系教育に力を入れる女子校が増えています。今年度から中学入学時にスーパーサイエンスコースを設けた昭和女子大学附属昭和中学・高校の真下峯子校長に、その背景を聞きました。(写真は、大学との連携プログラムで化学を学ぶスーパーサイエンスコースの生徒たち=昭和女子大学附属昭和中高提供)

真下峯子

話を聞いた人

真下峯子さん

昭和女子大学附属昭和中学校・昭和高等学校校長

(ましも・みねこ)奈良女子大学理学部卒業。埼玉県立高校で理科・生物教育に取り組み、県立川越女子高校教頭、県立松山女子高校校長、大妻嵐山中学・高校校長などを経て、2020年から現職。21年4月から昭和小学校校長も務める。

6年一貫のスーパーサイエンスコース

――2020年春に校長に着任して以降、理系教育に力を入れています。

今年4月から、中学入学時にスーパーサイエンスコース(SS)を設けました。16年にグローバル留学コースを設置し、18年から本科コースで理系に興味のある生徒を対象に中3からSSコースに分けていたのですが、もともと理系に興味のある生徒を入学時から募集することにしました。

昨年4月に校長に着任し、SSコースで6年間を通して育てるカリキュラムを作りました。探究や研究の手法も学ぶ特別のカリキュラムにするために、いろんな大学や企業と組んでサポートしてくれる仕組みを作っています。

SSコースの生徒は、ほとんど全員が看護などを含め理系を目指します。本科コース、グローバル留学コースを含めると、全体では25~30%です。理系の志望先は生物系や看護などが多く、工学系が増えるまでには至っていません。今後は医歯薬も増やしていきます。

――カリキュラムはどうなっていますか。

三つのコースとも、学習指導要領で定められた授業時数プラスアルファを設定しています。SSコースは、理科や数学を標準時数より多く学ぶことに加え、理科に理科演習を設けて、総合学習の時間と合わせ、探究や課題研究を6年間積み上げるプログラムを行っています。中学1、2年次で探究のスキルやマインドを育て、3年の後半から各自が課題を設定して研究します。理科的な探究には英語も必要なので英語を学び、プログラミングも取り入れています。

SSコースには他のコースから移ることも、SSコースの生徒が他のコースに移ることもできます。

――いろんな大学とも連携しています。

探究は課題を見つけるのが一番大変で、途中で挫折してしまうこともあります。そのために外部の力を借りてサポートしてもらっています。これまでの昭和大学との特別連携に加え、昨年から東京理科大学や東京農工大学と連携協定を結びました。大学院生や学生にTA(ティーチング・アシスタント)として、生徒の活動をサポートしてもらう仕組みを作りました。ありがたいことに東京理科大学では、15人くらいが手を挙げてくれました。研究の大変さや乗り越え方を伝えてもらおうと思っています。そのお返しに、それらの大学の教職志望の学生に学校インターンシップの場を提供し、職場体験してもらっています。

千葉大学の園芸学部の教員にも協力してもらっており、今後、お茶の水女子大学など他の理工系大学にも広げたいと思っています。

――SSコースの志願者は集まっていますか。

中学・高校は1学年6クラスで、1クラス(35人)がSSコースです。附属小から上がってくる生徒がいるので、中学では約120人が入ってきます。今年のSSコースの入試には、学力の高い志願者が集まり、実質倍率は3.0倍になりました。理系を学びたい女子はたくさんいます。

――系列の昭和女子大学はグローバル教育やビジネス系に力を入れ、以前とは様変わりしました。最近は文系の大学でも学生に早い段階でデータサイエンスの基礎を学ばせようという動きがあります。

グローバル教育は現在では当たり前になっていて、何を付加しているかが求められています。今年の大学の入学式で坂東眞理子理事長・総長と小原奈津子学長がともに、文系がデータサイエンスを学ぶ必要性に触れ、「数理科目を開設するので受講してほしい」と話していたのが印象的でした。

文系の大学や学部に進学しても、社会的な課題に取り組むには、データを活用できないといけないし、どんな職業に就いてもデータをちゃんと見ることが求められます。文系とか理系といった分け方は変えないといけません。

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