文系、理系の壁

大妻中高校長・成島由美さん「女子に『21世紀のお針箱』を授けたい」

2021.10.20

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中村 正史
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AIやDSができる女性には企業が寄ってくる

――理系の女子は就職がよく、企業から引く手あまたですが、そういう情報がなかなか中高生に伝わらないと理工系の大学の幹部が言っています。

高2のキャリア教育で、大手重機メーカーの採用担当の女性に話をしてもらったことがあります。「文系の有名大学に行っても、就活では何十社もエントリーシートを出してなかなか受からないが、AIやデータサイエンス(DS)ができれば1人の女性に何十社もの企業が寄ってきます」という話をしたら、生徒はとても興味を持っていました。

――校長になって5年目ですが、この間、力を入れてきたのが理系教育ですか。

理系とグローバル教育です。なぜなら、これからの雇用市場ではこれしか残っていかないと思うからです。

女性は出産などでキャリアの分断が起きがちですが、剝奪されない資格と、希少人材であれば、請われ続けます。「会社に戻ってきてほしい」とか「復帰を待っているから」と言われる人になることです。そのためには質的な価値を生徒たちに授けなければなりません。英語だけでなく中国語などの秀でた語学力や、プログラミングの能力です。

私は「レア人材になれ」「チャーミング・モンスター(愛される変人)になれ」と生徒たちに言っています。

まずは理系の頭にすることが大事なので、『文系AI人材になる』の著者でZOZOテクノロジーズの野口竜司さんに、情報の授業で「AIでの社会貢献」をテーマに語ってもらうなど、様々な講師を招いています。また、早稲田大や慶應義塾大の教員と連携して情報の授業をしたり、日本郵便のドローン研究を見せたりしています。生徒たちはAIやロボットの時代が来ることはわかっていても、ドローンの実証実験がここまで進んでいることを目の前で体験すると、その場で「どの大学に行けば学べますか」などと質問が出ます。

そういうスイッチが高校段階で入ると、生徒の進化は著しいです。

――女子の理系進学がなかなか増えなかったのはなぜでしょうか。

企業や社会の理解と、女性側の意識と、両方の要素があったと思います。女性は理系に向かないと思い込み、企業は女性を採用したがらないということがありました。しかし、理系は男性のものではないということに女性が気づき始め、挑戦したいという意識が芽生えています。企業側も女性を積極的に採用するようになっています。社会が変われば大学が変わり、高校も変わります。

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