学習と健康・成長

コツコツ取り組む「継続」習慣は、親のサポートで作れる 環境の整え方は? ゲームはさせない?

2021.10.22

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有馬 ゆえ
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「継続は力なり」の言葉通り、子どもに努力を重ねられるようになってほしいと考える保護者は少なくありません。発達臨床心理学を専門とする東京都市大学教授の井戸ゆかりさんは、「保護者のサポートさえあれば、多くの子どもはコツコツ取り組む習慣がつく」と話します。井戸さんに、子どもがやる気を継続しやすい環境の作り方と、思春期の子どもを上手に支援するコツについて聞きました。

Yukari_Ido

話を聞いた人

井戸ゆかりさん

東京都市大学教授

(いど・ゆかりさん)発達臨床心理学を専門に、子どもの発達に応じた子育て、保育について研究。渋谷区子ども・子育て会議会長、横浜市子育てサポート研修講師など。著書に、『「気がね」する子どもたち―「よい子」からのSOS』(萌文書林)、『子どもの「おそい・できない」にイライラしなくなる本』(PHP研究所)、保育の心理学 ―実践につなげる、子どもの発達理解」(編著、萌文書林)などがある。成人した2人の子どもの母。

努力を続けられるかどうかで、学力面に差はつく?

――物事にコツコツ取り組める子には、どんな特徴がありますか?

几帳面、我慢強いといった性格以上に、共通するのは自分に適した方法、環境で取り組めていることです。

具体的には、本人のレベルに合わせて内容や目標、時間が設定されていて、取り組みを楽しいと感じたり、達成感を得られたり、本人がポジティブな感情を抱けるような要因があること。

小学生は、周囲の大人の支援も必要な年齢です。やりたいと思ったときにすぐ手の届く場所に道具があったり、集中できるよう大きな音が出ないようにしたりと、取り組む環境に気配りをしてもらえると、やる気は維持しやすいでしょう。もし苦しい局面を迎えたとしても、大人の応援や見守りを受けられる子は、壁を乗り越えようとがんばることができるはず。

――努力を続けられるかどうかで、学力に差はつくのでしょうか。

つくと思います。特に小学校高学年以降は、英語や算数などで反復学習が増えてきます。それに、努力した結果から達成感を味わった経験がある子は、苦手なこと、したくないことがあっても挑戦する意欲を持ちやすいものです。

ただ、私はすべてにおいてコツコツ努力できる必要はないとも考えています。自発的に取り組んでいる場合は別として、無理のしすぎでストレスを抱え、心身を壊す恐れがあるからです。子どもが闇雲にがんばりすぎないよう、息抜きする方法とセットで教えてあげたいですね。

子どもがコツコツ取り組むために必要な準備

――子どもの取り組みを継続していくために、どんな準備をすればよいですか?

前提として、完璧を求めないこと。保護者も子どもも「続けなければならない」ではなく、「続けられたらいいよね」といった気持ちで取り組んでください。

そして、目標、内容、時間などを設定する際は、小分けにすること。例えば、目標として国語のテスト勉強をするなら、ステップ1は漢字の攻略、ステップ2は慣用句の攻略……といったように、スモールステップで進めるのです。そうすると子どもが「できた!」という達成感を重ねられるので、自信が育くまれ、継続につながります。

習慣づけ_1

目標は、その子にとって手が届く、あるいは、少しがんばれば達成できるレベルに設定を。目標達成までの過程を表やカレンダーなどに書き出し、○をつけたり、シールを貼ったりして進み具合を可視化すると、モチベーションを維持しやすいです。

取り組む内容は、苦手なものより興味・関心のあるものから。分量は多すぎず少なすぎず、時間は1日10分など短時間から始め、少しずつ増やしていくのがコツです。また、「帰宅後に○分」と、1日の中で時間帯を決めて取り組むと習慣化しやすいですね。

――環境はどのように整えればよいでしょうか。

その子が落ち着いて集中できるように気を配りましょう。音が邪魔にならないよう、テレビの音は切り、ドリルやノート、筆記用具などの道具は、本人が取りやすい位置に置くこと。子どもが集中して取り組んでいるのであれば、保護者は唐突に話しかけない配慮も大切です。

子どもによっては、勉強部屋よりもリビングの方が集中しやすいケースもあります。小学校低学年ぐらいまでは保護者が一緒に取り組んだり、隣で見守ったりすると安心できるでしょう。息抜きする方法がわからない子どもなら、「○時になったらおやつにしよう」といった声がけもしたいですね。

実力を発揮できるよう、日々、疲れすぎていないかにも目配りを。食事や睡眠、生活リズムについて、時折確認しましょう。高学年ぐらいになれば、親子で1日のスケジュールを振り返り、見直す習慣をつけてもいいと思います。

――ゲームやテレビに没頭する子どもはどうすればよいですか?

ゲームやテレビに限らず、子どもの好きなものを禁止すると、不満が出てすべきことへのやる気まで失ってしまうことがあります。「1日20分ゲームをしたら、勉強を30分する」など子どもと一緒にルールを決め、息抜きのツールとして活用しましょう。ルールは、時間を守れなかったときにどうするかまで決めておくのも忘れずに。

ゲームであっても「集中できる」という事実は変わりません。子どもが遊びに取り組む時間を尊重し、時間を決めて見守ることは、最初の集中力をつけるプロセスとも言えます。

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