一色清の「このニュースって何?」

首都圏で最大震度5強の地震 → 二つの巨大地震の予測を知っておこう

2021.10.15

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、山手線などが運転見合わせとなり、運転再開を待つ人で混み合うJR池袋駅=2021年10月7日午後11時45分、JR池袋駅、藤原伸雄撮影)

「首都直下」は死者2万3千人にも

10月7日夜、首都圏で最大震度5強の地震がありました。東京23区内で震度5強を観測したのは、2011年3月11日の東日本大震災以来のことでした。さいわい亡くなった人はいませんでしたが、電車が止まって自宅に戻れない人がたくさんいました。あちこちで水道管が破裂し、老朽化した設備のもろさも見せました。震源は千葉県北西部で深さは75キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.9でした。

政府の地震調査委員会が今後30年以内に発生する確率が高いとしている大地震が二つあります。首都直下地震と南海トラフ地震です。首都直下地震はマグニチュード7クラスで30年以内の発生確率70%、南海トラフ地震はマグニチュード8~9クラスで30年以内の発生確率70~80%と予測しています。今回の地震は震源が深く規模も小さいので、予測されている首都直下地震とは関係ないとされていますが、本当の首都直下地震がくればどんなに大変なことになるだろうと思わせてくれました。

首都直下地震は関東の南部で起こる巨大地震のことです。地球は何枚もの岩板(プレート)でおおわれています。関東近辺は地下で三つのプレートがせめぎあう世界的にも珍しい複雑な場所です。プレートの境界では構造的に地震が起こりやすくなっています。また、地震は岩板の割れ目(活断層)がずれて起こる場合もあります。関東には活断層も多く、このタイプの地震の可能性もあります。関東周辺のどこで起こってもおかしくありませんが、首都の真下が震源になると被害が巨大になるため、首都直下地震という名称をつけて警戒しているわけです。

30年以内に高い確率で起きると予測される根拠は、過去の地震の周期です。関東南部では1703年の元禄関東地震から1923年の関東大震災まで大きな地震が8回起きています。単純に計算すると27.5年に1回起きていることになります。関東大震災以降は、首都圏でマグニチュード7以上の大きな地震はありませんが、100年近くたってそろそろ起きてもおかしくないと考えられているのです。

国の中央防災会議は、都心南部でマグニチュード7.3の直下地震が起きると、火災や建物の倒壊によって最大2万3千人が死亡するとみています。火災で焼失したり地震の揺れによって全壊したりしてしまう建物は最大61万棟、帰宅困難者は最大800万人、経済被害は最大95兆円と計算しています。もちろん、悪い条件が重なった場合の数字ですが、これが現実になるかもしれないと考えると空恐ろしくなります。

関東大震災級のマグニチュード8.2の地震だと、もっと恐ろしいことになります。死者は最大7万人、失う建物は133万棟、経済被害は160兆円という数字がはじき出されています。

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