サピックス広野先生の 知っトクなっトク中学受験
6年生はラストスパート 志望校の過去問にどう取り組む? 週に1回は解く日を決めて
2021.10.19

手を広げすぎないよう注意
次に大切なことは学習のバランスです。4科目入試の学校であれば毎日4科目の学習を、2科目・3科目の学校であればそれぞれ毎日どの教科も少しでも学習することが大切です。知識問題や基本問題を定着させ、当日まで持続させるには、毎日繰り返すことが非常に重要です。すきま時間にできることをどの教科でも用意しておき、空いた時間をうまく利用してください。得意教科でもまったく学習しないと途端にカンが鈍ります。バランスを大切にしてください。そして、インプットとアウトプットのバランスも重要です。授業を受けたり質問をしたりすることがとても大事ですが、その内容を自分で再現できないと実力にはなりません。教わった内容を自分の力で解く時間を確保しないと、せっかくの学習の効果が減じます。入試は自分の力だけで解かないといけません。自宅で自分の力だけで問題を解く時間を大事にしてください。
この時期に気を付けなければいけないのは手を広げすぎないことです。どのような問題集も自分で解ききることによってはじめて力がつきます。様々な問題集などに手を出しどれも中途半端になったり、今までと違う方法論で学習して消化不良になったり、お子様が混乱してしまったという話も毎年よくうかがいます。迷いがあるときは、まずはお通いの塾の先生方に率直にご相談いただくことが非常に大切です。お子様をよくみている先生の目を信じましょう。
最後の3カ月の急成長を信じて
この時期は多くの模擬試験があります。テストの結果に右往左往しがちですが、テスト結果はあくまでその出題で、その時期に、その体調と、そこまでの学習量と、当日のお子様のメンタル面での好不調で決まる点数です。出題分野が微妙に変われば成績も変わりますし、最後に伸びる子であれば1カ月あればさらに点数が上がります。また受験生の好不調の波は必ずあります。調子の波のどの位置にいるかでも、成績は大きく変わります。ですから1回の模試の結果だけで志望校の変更を検討することはおやめください。ただし、数回の結果を平均してもなかなか本意の結果が出ず、過去問の点数が伸びないときは率直にご相談ください。この時期は希望ではなく率直に見通しについてお話しさせていただきます。
個人的には合格を勝ち取ることは非常にうれしいですが、不合格になってしまうことで大きく成長する子もいます。また第2志望、第3志望あるいはそれ以下の学校が、本人にとってベターな学校であったことも少なからずあります。受験校を最終的に決めることは非常に重いことですが、お子様の将来を考えて熟考してください。われわれもできる限りのアドバイスをさせて頂きます。
毎年、初めて過去問を解いたとき、学校が公表している平均点よりかなり低くて愕然(がくぜん)とされる保護者が多数いらっしゃいます。過去問は慣れが必要です。何年分かを解くことでその学校の出題の意図にどんどん慣れてきます。またお子様の実力は最後の3カ月に大きく伸びます。この力の伸びはすごいです。10月頃の実力ではかなり厳しいと感じた子でも最後に大きく成長する子は毎年多数います。そのためにはお子様の実力を信じ、やればできるという保護者の毎日のお声掛け、そしてお通いの学校や塾の先生の励ましがとても大事です。反抗期を迎え、扱いの大変なお子様も多いとは思いますが、まだまだ子どもです。成長を信じて、頑張らせてください。