まだまだ続く教育改革

高校「1人1台端末」、配備2割で大丈夫? 小中学校は9割以上配備

2021.10.19

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石田 かおる
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──高校では来年から「情報Ⅰ」が必修になり、2025年以降の大学入学共通テストの教科にも「情報」が組み込まれました。端末整備の遅れや地域によるばらつきは影響しないのでしょうか。

情報の授業については、これまで使ってきているパソコン教室のパソコンがあるため「1人1台端末」の整備の遅れは直接に影響しない、というのが文科省や多くの教員の認識です。しかし、私はそれでは不十分だと考えています。GIGAスクールを推進している人たちと情報科の教員たちが別々に考えていて、両者をトータルで考えられる人が少ないように感じます。

例えば、情報の授業でプログラミングを学んだとします。作業したものをクラウドに保存し、帰宅後、生徒が自身の興味に応じて発展的に学べるようにするのが本来あるべき姿です。「続きをもっとやりたい」と思わせるのも教師の手腕です。

それをかなえるためには、「端末」だけでなく「ネットワーク」「クラウド」の整備も不可欠です。端末の数ばかりがクローズアップされますが、三つを総合的に整えないと意味がありません。9割配備できた小中学校でも、自宅に持ち帰れなかったり、自治体のクラウド規制が厳しすぎて使えなかったりするケースがあり、課題は多く残されています。

──「情報Ⅰ」の必修化を前に、専門教員の数の地域格差も懸念されています。改善の動きはありますか。

共通テストの科目になったこともあって、各地で教員の採用枠は増えています。情報科の科目は単位数が少ないため、教員は各校に1人しかいないケースが多い。このため、教員同士が最新の知見やスキルなどを共有できる場をネット上に作りました。週1回開催していて、全国から30人以上集まり、1年以上続いています。

神奈川県立川崎北高校の授業風景=柴田功校長提供
神奈川県立川崎北高校の授業風景=柴田功校長提供

──今後、「1人1台端末」の整備を進めるうえで大事なことは何でしょうか。

文科省はGIGAスクール構想の目的として、「個別最適化された学び」というワードを打ち出しています。しかし、具体的なイメージが湧きにくく、人によって思い浮かべるものも違うと思います。

私は、学びを記録する「ポートフォリオ」を1人1台端末で作りましょう、と提唱しています。例えば、美術で立体造形を作るとする。そうしたら最初のラフスケッチから始まり、制作過程も記録していきます。ストックができていけば、自分の上達具合を知ることができます。記録するのは、教科に限らず部活や学園祭でもいい。発表にも使えますし、発信することで同じような興味を持つ人たちとつながることもできるかもしれません。生徒はその過程で、動画の編集や個人情報、著作物の扱い方など実践的に学んでいけます。

イメージ先行でなく、具体的なことを通してGIGAスクールを地に足をつけたものとして定着させていくことが大事だと私は考えます。

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