一色清の「このニュースって何?」

ガソリン価格が高騰 → 「いい物価上昇」と「悪い物価上昇」の違いを知ろう

2021.10.22

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一色 清
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今回は良否両方の側面が…

物価上昇には「いい物価上昇」と「悪い物価上昇」があるといわれます。「いい物価上昇」とは、景気が良くなって賃金が上がり、人々の消費意欲が旺盛になって起きる物価上昇です。日本の高度成長時代の物価上昇はこうした好循環によるものでした。アベノミクスで目指したのも「いい物価上昇」でした。

「悪い物価上昇」というのは、景気が良くないのに起きる物価上昇です。経済用語ではスタグフレーションといいます。歴史的に有名なスタグフレーションは、1970年代に2度起きた石油危機(オイルショック)によるものです。中東の産油国を中心とする石油輸出国機構(OPEC)が突然、原油価格を大幅に値上げすることを決めました。それによって日本など石油の消費国は経済的に大きな打撃を受けるため、パニックになりました。石油を節約するため、夜の街は暗くなり、テレビの深夜放送はなくなりました。石油は燃料としてだけでなく、プラスチックなど化学品の原料としても使われますので、多くのモノの製造コストも上がりました。そのため物価ははね上がりましたが、企業の業績は悪くなり、景気は落ち込みました。物価はすごく上がるのに賃金はそう上がらないという状況になりましたが、それは生活が苦しくなることを意味します。

今回の物価上昇には、「いい物価上昇」の側面と「悪い物価上昇」の側面とが入り交じっています。コロナ禍で我慢を強いられていた人が活発に動き出して需要が高まっているのは、「いい物価上昇」の面です。一方、モノの流れが悪くなっている点や円安が進んでいる点は「悪い物価上昇」の面といえます。

今の物価上昇がこれからどうなるのかを予想するのは、とても難しいことです。コロナ禍が本当に終息に向かうのか、それともまた大きな波が来るのかでまったく違ってきます。本当に終息に向かえば「いい物価上昇」の側面が強くなるでしょうが、まだそうなると言い切れる状況ではありません。

中国経済が難しい局面にきていることも、予想を難しくしています。中国はコロナ禍の2020年に世界の主要国で唯一プラス成長だった国ですが、ここにきて減速しています。さらに、不動産バブルを抱えています。バブルが崩壊すれば、中国経済は一時的にガタガタになる恐れがあります。中国は日本の最大の貿易相手国だけに、中国経済が悪くなると、日本経済にも世界経済にも悪影響があります。ただ、その時の景気と物価の関係については予想がつきません。

物価の上がり下がりは、わたしたちが経済について考えるいい材料になります。物価には世界の動きや社会の流れがつまっています。上がればどうして上がっているのかを、下がればどうして下がっているかを調べたり考えたりしてみるといいと思います。

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