文系、理系の壁

成城大・小宮路雅博教授「文系こそデータサイエンスを学ぼう!の意味」

2021.10.25

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中村 正史
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日本は高校の文理選択で文系、理系に分かれ、大学でも文理が交わることが少なく、社会人になっても文系、理系の意識を持ち続ける人が少なくないといわれます。そうした中で、文系学生にもAIやデータサイエンスを学ばせようという動きが広がっています。「文系学生こそデータサイエンスを学ぼう!」をキャッチフレーズに、全国に先駆けて全学部生を対象にデータサイエンス教育を行ってきた成城大学の小宮路雅博・データサイエンス教育研究センター長に、7年間の取り組みと学生の変化などを聞きました。(写真は、辻智・データサイエンス教育研究センター特任教授の授業の様子=成城大提供)

小宮路雅博

話を聞いた人

小宮路雅博さん

成城大学データサイエンス教育研究センター長、経済学部教授

(こみやじ・まさひろ)茨城大学人文学部教授を経て、2009年、成城大学経済学部教授。17~21年、経済学部長。21年4月からデータサイエンス教育研究センター長。専門はマーケティング論。

2019年度から履修者が急増

――成城大学は「文系学生こそデータサイエンスを学ぼう!」をキャッチフレーズに、早くからデータサイエンス教育に取り組んでいます。

成城大学は経済学部、文芸学部、法学部、社会イノベーション学部の文系4学部ですが、2015年度からデータサイエンスの科目群を提供しています。滋賀大学に国内初のデータサイエンス学部ができたのが17年度なので、データサイエンス教育としては全国に先駆けて始めています。文部科学省が今年から始めた「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」の認定校にも選定されました。

「文系学生こそデータサイエンスを学ぼう!」というキャッチフレーズは、文系だからデータサイエンスは関係ないというマインドセットを変えさせたい、データサイエンスの扉を開けさせたいという思いを込めています。「あなたは文系でしょ。だからこそデータサイエンスを学ぼうよ」という、マインドセットをチェンジするためのメッセージです。

データサイエンス教育研究センターは、今年4月から大学の新校舎に入り、専用演習室もできました。

――データサイエンス科目群はどういう内容ですか。

入門的な「概論」から、最上級の「アドバンスド・プログラム」まで6科目で構成し、どの学部・学科の学生でも、1年生から履修できます。基礎レベルの「概論」「入門Ⅰ」「入門Ⅱ」「スキルアップ・プログラム」の4科目の単位を取得すると、「データサイエンス基礎力ディプロマ(履修証明)」の認定証を、最上級まで6科目全部の単位を取得すると、「データサイエンスEMSディプロマ」の認定証を出しています。学長名での認定証をもらえるので、学生のモチベーションが増し、就活でもアピールできます。

22年度新入生からは科目群を進化させ、中間レベルのディプロマを設けて3段階の認定証を出す予定です。

――履修する学生は増えていますか。

15年度にデータサイエンス科目を始めた時から、文系の学生に数式アレルギーを持たせてはいけないと考え、災害時のSNS対応やヘルスケアなどの社会問題と関連づけ、まずはデータサイエンスが社会課題の解決のためにどう応用されるかということを教えてきました。

15年度は1年生向けの「概論」「入門Ⅰ」2クラスずつの4クラスでスタートしましたが、学年進行もあり、クラス数は年々増え、21年度は「概論」6クラス、「入門Ⅰ」3クラスなど、全部で14クラスになりました。クラス数の増加は、19年度から拍車がかかりました。これはデータサイエンスが世の中に浸透し、学部を新設する大学が次々に出てきて、大学生や高校生にも広まったこともあるでしょう。

今年度は693人がデータサイエンス科目を履修しています。学部別では、経済学部の学生が最も多いですが、文芸学部が次いで多いのが特徴です。自然言語処理や画像処理を授業の中に入れているので、例えば文芸学部マスコミュニケーション学科の学生はAIによる自動翻訳などに関心を持っているようです。文芸学部の履修生が多いのは、私たちのデータサイエンス教育が学生たちに受け入れられている証しの一つと自負しています。

パソコンを開き、データサイエンスの授業を受ける学生=成城大提供
データサイエンスの授業を受ける学生=成城大提供

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