一色清の「このニュースって何?」

「ばらまき」競う衆院選 → 日本の財政は破綻するのか? しないのか?

2021.10.29

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、商店街での遊説で候補者とグータッチを交わす人たち=2021年10月19日、福岡県内、藤脇正真撮影)

借金依存比率は64%

「消費税を5%に下げます」「一律1人10万円を給付します」「数十兆円規模の経済対策を実施します」。衆議院議員選挙の各党の公約を見ると、こんな言葉が躍っています。わたしたちにとってはうれしい公約ですが、国にしてみれば、出ていくお金が増えたり、入ってくるお金が減ったりする政策です。つまり、こうした政策を実行すると、国の財政の赤字が膨らみます。財政を担当する財務省の矢野康治事務次官は月刊誌に「このままでは国家財政は破綻する」という論文を発表しました。官僚がこうした主張を堂々と披露するのは異例のことで、それだけ日本の財政への危機感が強いことを表しています。ただ、一方で「国家財政は破綻しない」と主張する学者や政治家も少なくありません。どちらが正しいのでしょうか。

まず、日本の財政を考えるうえで必要な基礎知識を知っておきましょう。日本の財政も家計も基本的には同じです。家計に収入と支出があるように国にも歳入と歳出があります。歳入の主なものは税収と借金(国債)です。2020年度はコロナ禍で巨額の補正予算を組んだため歳出が膨らみ、176兆円にもなりました。税収は60兆円ほどですから足りないお金のほとんどは借金でまかない、借金に依存する比率は64%にもなりました。家計なら6割以上も借金に頼って生活していることになり、続くわけがないレベルです。

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