「地方」で学ぶ

大自然の中で、公正で持続可能な社会の担い手を育む 来秋開校の白馬インターナショナルスクール

2021.10.29

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山下 知子
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北アルプスをのぞむ長野県白馬村に2022年9月、白馬インターナショナルスクールが誕生します。「地球規模で、公正で持続可能な社会の担い手を育みたい」と、白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事の草本朋子さん。白馬で開校する経緯や、目指す教育について話を聞きました。(写真は、サマースクールの様子=同財団提供)

草本朋子

話を聞いた人

草本朋子さん

一般財団法人白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事

(くさもと・ともこ)1969年生まれ。東京大経済学部卒。米系投資銀行勤務後、米カリフォルニア大学バークリー校でMBAを取得。ゴールドマン・サックスの投資部門を経て長女の出産を機に金融業界を引退し、3児の母となる。白馬の大自然に魅了され、子育てのため2009年に移住。17年、白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事。19年、白馬SDGsラボ共同代表。

白馬の自然、全世界から人が来る

――白馬村に開校する狙いは何でしょうか。どのような教育を目指しますか。

開校までには二つの流れがあります。

私自身と教育との関わりは2014年、地元の長野県白馬高校に魅力化プロジェクトができ、声をかけてもらったのが始まりです。その頃は、スキー部に入部予定以外の中学生は、高校進学時に村外に出てしまうケースが多かったんですね。家族で村を離れてしまうケースもあり、村の過疎化に拍車をかけていました。

プロジェクトでの議論から村が予算をつけ、公営塾をつくるなど学力保障に力を入れました。16年度から国際観光科を新設し、村が寮を設けて生徒を全国募集することにしました。生きた英語が学べる環境も用意しました。この過程を通じて、素晴らしい教育があれば人はどんどん増えると確信しました。実際に県内を見渡すと、個性的な学校が開校している軽井沢や佐久では人が増えています。

白馬の自然があれば、全国どころか世界から人が集まるとも思いました。スキーをする人には最高の雪質ですし、北アルプスをのぞむ白馬の自然を愛する外国人は本当に多いのです。外資系IT企業に勤めている知人らから「東京を離れられないのは子どもの学校が東京にあるから」「白馬にインターナショナルスクールができるのなら移住したい」といった声をよく聞きました。

ある時、スイスの学校を視察しました。人口の少ない集落にインターナショナルスクールが複数ありました。白馬だってできる、と確信しました。何より、日本は安全な環境ですし、「日本にいきたい」と考える外国の人は少なくありません。

こうした考えを周囲と共有すると、賛同者が多くいました。元ヤフー社長で東京都副知事の宮坂学さん、サッカー日本代表監督を務めた岡田武史さん……。宮坂さんのお父様は晩年は白馬にお住まいだったのでご実家があります。岡田さんはアウトドア活動に力を入れていて、「大自然の中に出てこそ人はDNAにスイッチが入る。最高の学校ができる」との言葉を頂きました。

白馬村を流れる松川と北アルプス=白馬インターナショナルスクール設立準備財団提供
白馬村を流れる松川と北アルプス=白馬インターナショナルスクール設立準備財団提供

私自身が白馬村で暮らす中で、「人を育てたい」との思いが募った面もあります。年々降雪量が減り、今まで見たことがなかった虫がいる、桜の開花も早くなっている――気候変動を肌で感じています。私たちにできなかった、地球規模で持続可能な社会を築くことができる人を育てたい。心からそう思いました。

カリキュラムは、その思いを軸にする予定です。エアコンがしっかり利いている都会の建物の中で気候変動を話題にするのではなく、自然とのつながりが感じられる場所で、自分も自然の一部である感覚を持ちながら、地球の未来について考えることが大事だと思っています。

学校建設予定地=同財団提供
学校建設予定地=同財団提供

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