文系、理系の壁

奈良女子大、お茶の水女子大が相次いで工学部を開設する理由

2021.11.01

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中村 正史
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女子の理系進学の起爆剤になるか

大学受験業界はどう見ているのだろうか。駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は、こう話す。

「模試の現時点の志望状況を見ると、奈良女子大の工学部は理学部の7割程度の志望者数です。ただし、後期は理学部志望者より平均偏差値が高い。22年度に大阪市立大と大阪府立大が統合し、旧大阪市立大工学部の後期日程入試がなくなることから、その受け皿になっているようです。関西は国公立志向が強いので、後期日程でいい受験者層が集まる可能性があります。一方、首都圏では東京理科大をはじめ、理系の私大が充実しており、お茶の水女子大はそうした大学との競争になります」

文部科学省の学校基本調査によると、全国の4年制大学で工学部の女性比率は15%にとどまる。STEM(科学、技術、工学、数学)分野の女性比率が少ないことは世界的な課題だが、日本は特に少なく、OECD(経済協力開発機構)加盟の先進国の中で、工学の女性比率は比較可能な36カ国の中で最低だ。

女子の理系進学を増やそうと理系教育に取り組んでいる首都圏の私立女子中高では、女子大が初めて工学部をつくることへの関心が高い。一方で、教育関係者の間では、新設の工学部に女子がどれくらい集まるのか懐疑的な声もある。東西の国立2女子大の動きが、工学系に進む女子を動機づける起爆剤になるのかどうか、注目したい。

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