文系、理系の壁

女子大初、奈良女工学部は「全員バラバラのことをやるのが理想」 学部長就任予定の藤田教授

2021.11.04

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葉山 梢
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文系の生徒にも入ってほしい

――カリキュラムにはどのような特長があるのですか。

最も大きな特長が「自由履修制度」です。これまでの工学部は4年間かけて専門性を積み上げるものでしたが、奈良女子大の工学部は学科やコース分けはなく、基幹科目と教養科目以外の65単位はすべて自分で選べます。創造力を育てるSTEAM教育と、ユーザーや地域社会の課題を見つけて実践的に探究する課題解決型演習も重視しています。

カリキュラムのイメージ図(奈良女子大作成の資料から)
カリキュラムのイメージ図(奈良女子大作成の資料から)

現代は大量生産・大量消費から、多品種少量生産、個人の個性に合わせた生産・消費に変わってきています。個性が大事だということを真剣に捉えて、各人のキャリア形成を考える必要があります。そのために教養科目には、自己の強みと弱み、興味関心を把握して適切な未来像を描く「自己プロデュース」を入れました。その上で、自由履修制度で一人一人に合わせたカリキュラムが作れるようにしています。

「50人いたら50通りのエンジニアを育てる」と打ち出しており、そのための自由履修制度です。理想は、全員バラバラのことをやること。一人一人別々の学びのステップを踏み、その中で新しいアイデアが生まれる。我々教員も、新しい分野や研究目標を得たいと思っています。

――高校で文系コースだった生徒も入れるのでしょうか。

大学入学共通テストを受けなくていい「総合型選抜 探究力入試『Q』」で定員の3割、学校推薦型選抜で1割を採ります。残りは一般選抜ですが、前期日程の入試科目からは数学Ⅲを外しています。後期日程以外は文系の生徒も受けられます。

総合型選抜は既に選考が始まっていますが、残念ながらほとんど理系コースの生徒でした。一つは高校の探究活動の延長として大学で何をやりたいかを発表してもらう形式で、文系の生徒には応募しづらかったようです。もう一つは、実験に参加して理解力や読解力をみる形式なので、文系の生徒には敬遠されたのかもしれません。難しい実験ではないので、面白いと思ってもらえれば十分なのですが。

今後の工学の在り方として、なるべく多様な人が一緒に学ぶ場を作りたい。文系コースだった人もついて行けるよう、理数系の基礎科目も設定しています。2割くらいは文系の生徒にも入ってほしいと思っているので、入試科目や内容は将来的に変えていく必要があるかもしれません。

全体の出願数は予想より多く、手応えを感じています。ただ関西以外、特に九州や四国ではまだ知られていないようです。総合型選抜では「自由履修制度に魅力を感じている」という出願理由が多かったので、周知していきたいです。

――学部長も女性にするという手もあったのでは?

その方がいいと私も強く主張したのですが……。教員の女性の割合は、世の中のエンジニアと同じです。女子学生が少ないから、当然の結果として女性の教員も少ない。研究者の女性を増やしていくことも大きな課題だと認識しています。

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