「地方」で学ぶ

沖縄・竹富島の小中学校は「昔からコミュニティースクール」 暮らす・働く・学ぶが重なる体験活動

2021.11.05

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片岡 由衣
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東京のおよそ2000㌔南にあり、約350人の人々が暮らす沖縄・竹富島では、水は貴重で1日の使用量が制限されている。筆者の子どもたちも通う竹富小中学校が9月29日、海水淡水化装置の見学や塩作りを通して、身近な資源について考える活動に参加すると聞き、主催する島内のリゾート施設を訪ねた。

地域住民と一丸になった体験活動を

9月も終わるというのに、照りつける太陽がまぶしく、額に汗がにじむ。沖縄本島からさらに400㌔南下した場所にある竹富島。竹富小中学校は島にある唯一の学校で、地域の住民や企業と連携しながら、特色を生かしたユニークな学びを実践している。

竹富島の集落は国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている。豊かな自然に囲まれ、伝統的な沖縄建築が並ぶ風景を残している場所だ。信号やコンビニすらなく、もちろん水族館、動物園、博物館などもない。

島全体で子どもの数が少ないこともあり、地域住民から子どもたちへの視線はあたたかなものだ。「地域の人たちとの距離の近さをいつも感じています。何か相談すると、すぐに動いてくれる。離島の学校での勤務は初めてですが、学校と地域の関係がこうありたいと思える形だと感じます」と宮良綾乃(みやらあやの)教諭は話す。

島にある滞在型リゾート「星のや竹富島」。星のやも島に根づき、ともに子どもたちの将来を考えようとしている。星のや竹富島総支配人の本多薫さんは「コロナ禍で課外活動の機会が減っていたと聞きました。海水淡水化装置の計画を島の皆さんに報告したところ、先生が『ぜひ見学させてほしい』と声をかけてくれました。子どもたちのために何ができるだろう、と日頃からアンテナを立てているんだろうなと感じます」と話す。こうして、今回の体験活動が実現した。

自分たちの身の回りにある資源を実感

星のや竹富島での体験活動に参加したのは、3・4年生学級の子どもたち。スタッフが「海のために何かしたことはある?」と投げかけると、「はい! はい!」と勢いよく手があがり、「海のゴミを拾ったりしてるよ」と答える。

竹富島では長い間、生活用水を井戸水に頼る暮らしが続いたが、1976年からは石垣島からの海底送水が行われ、今も続く。水は貴重で、1日に使用できる水量に上限がある。このような環境のなか、星のや竹富島では2021年2月から「海水淡水化装置」の運用を始めた。くみあげた海水を淡水にし、飲料水を自給している。客室にペットボトルを置くのもやめたという。

授業は、この「海水淡水化装置」を使った水、水道水、塩水の3種を飲むことから始まった。「しょっぱい!」「絶対これだと思う」。口ぐちに意見が飛び交う。「海水を淡水にする装置があるんだけど……」と、スタッフが言い終わる前に「見てみたいなあ〜」と声がもれる。「今から見学に行くよ!」と言うと、「よっしゃー!」とガッツポーズをする子どもたち。

3種類の水。子どもたちのほとんどが「水色が装置の水だと思う」と、正解の水を選んでいた
3種類の水。子どもたちのほとんどが「水色が装置の水だと思う」と、正解の水を選んでいた

普段は入ることのない敷地内に移動すると、海水淡水化装置を動かすための太陽光発電パネルや、地下12㍍からくみ上げた海水をためているタンク、そして海水淡水化装置が現れた。実際に装置を通した水をここでも飲ませてもらう。

「冷たい! おいしい」と喜びの声が。施設管理を担当する足立淳さん(左)が装置の仕組みを説明
「冷たい! おいしい」と喜びの声が。施設管理を担当する足立淳さん(左)が装置の仕組みを説明

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