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「人を幸せにするロボット」を追い求めて 金沢工業大学出村公成研究室

2021.11.17

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岡田 慶子
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◇金沢工業大学工学部ロボティクス学科 出村公成研究室

人々の日常生活を支える「生活支援ロボット」の開発に取り組む出村研究室。これからの日本社会に必要とされるロボットとは。
(写真は、「World Robot Summit 2020愛知大会」に出場時のもの。中央のロボット・ソーヤーには独自開発の全方向移動台車がついている=金沢工業大提供)

子どものころ、アニメ「鉄腕アトム」に夢中になったという出村公成教授。意思を持ち、人間を助けてくれるロボットの存在にあこがれた。いつか自分の手で、そんなロボットを作ることができたなら――。現在、出村研究室では人々の生活を助ける「生活支援ロボット」の研究開発に取り組んでいる。

「ひとことで生活支援ロボットと言っても、家庭やオフィス、高齢者介護施設など、活躍する場所やその機能もさまざまです。しかし広い意味で『人を助ける』ことを研究の目的としていきたいと思っています」(出村教授)

出村公成教授。人工知能(AI)を搭載するロボットを作ることは幼いころからの夢だった(写真提供/金沢工業大)
出村公成教授。人工知能(AI)を搭載するロボットを作ることは幼いころからの夢だった(写真提供/金沢工業大)

国際大会で技術力を磨く

2021年9月、出村研究室のプロジェクトチームは「World Robot Summit 2020愛知大会」に出場した。舞台は近未来のコンビニエンスストア。住友重機械工業が国内販売を行う協働ロボット「Sawyer(ソーヤー)」を活用して、消費期限が切れたおにぎりなどの商品を廃棄し、新たな商品を補充するタスクに挑戦した。大会に参加した大学4年の川隅蓮さんは、「商品の廃棄はうまくいったが、倒れてしまった商品を前のほうまでもってくるというタスクに課題が残りました。また、消費期限が早いものから順に並べて補充するというのも難しかった」と振り返る。

大学4年の川隅蓮さん。「もともとロボットを動かすことが大好き。今後は大学院へ進学し、食品をピック&プレースする産業用ロボットの研究を深めたいと考えています」(写真提供/金沢工業大)
大学4年の川隅蓮さん。「もともとロボットを動かすことが大好き。今後は大学院へ進学し、食品をピック&プレースする産業用ロボットの研究を深めたいと考えています」(写真提供/金沢工業大)

また、大学4年の水谷好佑さんはソーヤーと連携する自動開閉棚を担当した。

「完璧なロボットを作るのは難しいため、ロボットの作業空間を支えるインフラシステムの開発も重要になってきます。今回はタテヤマアドバンス社とともに次世代スライド棚を開発しました。企業との共同研究はコミュニケーション力なども鍛えられ、いい経験になりました」(水谷さん)

大学4年の水谷好佑さん。「人間とロボットが一緒の空間で生活する『ドラえもん』の世界にあこがれたことが、この研究室に入るきっかけとなりました。企業との共同研究は、自分の将来の仕事をイメージする貴重な体験になりました」(写真提供/金沢工業大)
大学4年の水谷好佑さん。「人間とロボットが一緒の空間で生活する『ドラえもん』の世界にあこがれたことが、この研究室に入るきっかけとなりました。企業との共同研究は、自分の将来の仕事をイメージする貴重な体験になりました」(写真提供/金沢工業大)

国際大会に積極的に参加し、技術力向上に努めるのは出村研究室の特徴のひとつだ。

「今回はコロナ禍で遠隔参加でしたが、こういった場所には世界のトップチームが集まり、オープンに情報交換しています。研究室にこもりきりになるのではなく、外でもさまざまなことを吸収してもらいたい」(出村教授)

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