学習と健康・成長

「ギフテッド・チルドレン」突出した能力と極端な個性 寄り添い伸ばす支援とは

2021.11.22

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小林 香織
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ある分野の突出した能力と複雑な個性を併せ持つ「ギフテッド・チルドレン」。「成績優秀な子ども」として見られることもありますが、同時に極端に苦手なことがあるなど、サポートが必要な場面も多いといいます。まだ日本では広く知られていない「ギフテッド・チルドレン」の特性、適切な支援について、世界ギフテッド&タレンティッド・チルドレン協議会日本代表の酒井由紀子さんに聞きました。

Yukiko_Sakai

話を聞いた人

酒井 由紀子さん

株式会社リエゾン・デートル 代表取締役、世界ギフテッド&タレンティッド・チルドレン協議会日本代表

(さかい・ゆきこ)アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれ。「ギフテッド・チルドレン」に関わる国内外の教育機関と、そこで育つ子どもたちについて取材と交流を重ねている。2020年9月に『才能はみだしっ子の育て方』(主婦の友社)を上梓。本書の監修を務めた愛媛大学の隅田学教授をはじめ専門家の協力のもと、ギフテッド・チルドレン本人と家族のための情報提供と交流のためのネットワークづくりに取り組む。

凸凹の個性を持つ「ギフテッド・チルドレン」とは

――「ギフテッド・チルドレン」の特性を教えてください。

一つ、または複数の分野で同年代の子どもと比べて突出した能力を持つのが、最大の特徴です。同時に複雑な個性も見られ、とても繊細で傷つきやすい心の持ち主でもあります。例えば、完璧主義で物事へのこだわりが強い、知的欲求が満たされないと強い苦痛を感じる、騒音、におい、光などに強い拒否反応を示すなど。

ギフテッド・チルドレンは、よく「凸凹」と表現されるのですが、突出した「能力」(凸)と「複雑な個性」(凹)がアンバランスになりがちです。突出した能力ゆえに、「天才児」「高IQ」と思われがちですが、実は極端に苦手なことを併せ持つことがあります。

アメリカでは、2004年から2014年までギフテッド・チルドレン専門の教育を受けている子どもの平均数値が、常に6%を超えています。この数値を参照すると、日本にも約90万人のギフテッド・チルドレンがいると考えられます。

――どのようにして、ギフテッド・チルドレンかどうかを見極めるのでしょうか?

突出した能力に関しては、以下のような特性に当てはまると、ギフテッド・チルドレンである可能性が高いといわれます。これらは取材したニュージーランドの情報を一部抜粋したものです。

●一つかそれ以上の分野に対して、周りが認めるほど詳しい
●物事の習得が早い
●年齢とそぐわないほどの知識や判断力がある
●すぐれた記憶力や語彙力を持つ
●大人顔負けのユーモアのセンスがある

一方、複雑な個性に関しては、以下が代表例となります。

●「なぜ?」「どうして?」と延々と質問を続ける
●理由に納得できないと指示に従うことができない
●感覚が非常に敏感である
●想像の世界に入り込んでしまう
●心が繊細で傷つきやすい
●完璧主義者である
●道徳に対して敏感である

あたかも、一人の子どもの中に異なる年齢が共存しているような状態であり、例えば、7歳の子どもで高校生レベルの数学の知識を持っている一方、情緒面は実年齢より幼いなど。知的能力がズバ抜けて高いと、複雑な個性とのギャップが大きくなる傾向があると言われています。

ギフテッド・チルドレンの特性の一つに「高IQ」があることから、世界各国で使われている知能検査「WISC-IV」(ウィスク・フォー)の結果を通じて、自身の子どもがギフテッド・チルドレンだと認識した保護者の方もいます。

――日本では、「ギフテッド・チルドレン」の認知度が低い気がしますが、どのくらい知られているのでしょうか?

現状は、この領域に関心が高い研究者や一部の教育者、保護者だけが知っている程度だと思います。これは、日本の学習指導要領にギフテッド・チルドレンを対象にした「ギフテッド教育」が含まれていない事実が影響しているでしょう。また、言葉は知っていても、「高IQの子ども」などと断片的な知識しか持っていない方もいます。

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