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問題【国語】正岡子規『仰臥漫録』を読む

2021.11.15

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40都道府県から生徒が集う西日本有数の予備校・高松高等予備校と朝日新聞が、高校受験に役立つページを用意しました。各教科の問題と解答はもちろん、各問についての解説も充実していて、手応えはバツグン。保護者の皆さんも中学生向けと侮らず、ぜひお子さんとチャレンジしてみてください。

問題 次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。

十月廿七(にじゅう)日 曇
明日は余の誕生日にあたる(旧暦九月十七日)を今日に繰り上げ①昼飯に岡野の料理二人前を取り寄せ家内三人にて食ふ。これは例の財布の中より出たる者にていささか平生看護の労に酬(むく)いんとするなり。けだしまた余の誕生日の祝ひをさめなるべし。料理は会席膳に五品(中略)

午後蒼(そう)台(だい)来る。四(し)方(ほう)太(だ)来る。
牛乳ビスケットなど少し食ふ 晩飯は殆(ほと)んど食へず。
料理屋の料理ほど千(せん)篇(ぺん)一(いち)律(りつ)でうまくない者はないと世上の人はいふ。されど病(びゃう)牀(しゃう)にありてさしみばかり食ふて居る余にはその料理が珍(めづ)らしくもありうまくもある。平生台所の隅で香の物ばかり食ふて居る母や妹には更に珍らしくもありうまくもあるのだ。
去年の誕生日には御(ご)馳(ち)走(そう)の食ひをさめをやるつもりで碧(へき)四(し)虚(きょ)鼠(そ)四人を招いた。この時は余はいふにいはれぬ感慨に打たれて胸の中は実にやすまることがなかつた。余はこの日を非常に自分に取つて大切な日と思ふたので先(ま)づ②庭の松の木から松の木へ白木棉(もめん)を張りなどした。これは前の小菊の色をうしろ側の雞(けい)頭(とう)の色が圧するからこの白幕で雞頭を隠したのである。ところが暫(しばら)くすると曇りが少し取れて日が赫(かつ)とさしたので右の白幕へ五、六本の雞頭の影が高低に映つたのは実に妙であつた。
待ちかねた四人はやうやう夕刻に揃(そろ)ふてそれから飯となつた。余は皆に案内状を出すときに土産物の注文をしておいた。それは虚子に「赤」といふ題を与へて食物か玩具(おもちゃ)を持つて来いといふのであつたが虚子はゆで卵の真赤に染めたのを持つて来た。これはニコライ会堂でやることさうな。鼠(そ)骨(こつ)は「青」の題で青蜜柑(みかん)、四方太は「黄」の題で蜜柑と何やらと張(はり)子(こ)の虎とを持つて来た。碧(へき)梧(ご)桐(とう)は茶色、余は白であつたが何やら忘れた。食後次第に話がはずんで来て余は昼のあいだの不安心不愉快を忘れるほどになつた。

(正岡子規『仰臥漫録』による。)

問1 ①のように、料理屋から取り寄せたのは何のためか。

問2 ②のように、白幕を張った主な二つの理由を答えよ。

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