学習と健康・成長

中学受験で「つるかめ算」を学ぶ理由 おおたとしまささん「鍛えているのは知恵と度胸」

2021.11.18

author
おおたとしまさ
Main Image

中学受験をテーマにしたドラマ「二月の勝者−絶対合格の教室−」が話題になっている。コロナ禍で私学人気が上昇し、中学受験者数も増加傾向にある。一方で、中学受験そのものに対する批判の声は大きい。その理由の一つに、中学受験のための勉強が無味乾燥な知識の詰め込みにすぎないからというのがある。しかしそれはちょっと誤解だと、教育ジャーナリストのおおたとしまささんは指摘する。

算数オリンピックの問題にそっくり

できることなら、中学入試問題を実際に解いてみてほしい。たしかに小学校の教科書の隅から隅までを理解するような膨大な知識は必要だし、それだけで解ける問題も中にはあるが、合否を分ける難問の類いは知識だけで解けるものでは到底ない。

たとえば算数の文章題には、「和差算」や「旅人算」や「つるかめ算」などのいわゆる特殊算を何重にも使用して解く問題がある。まるで何重にも鍵が掛けられた宝箱を開けるような職人技が要求される。

その際、特殊算を使いこなす技能が必要なだけでなく、問題文を読解し、そのなかに特殊算の要素が幾重にも隠されていることを発見し、それにどのような順番で対処すればすべての鍵が開けられるかの見通しを立てながら取り組まなければならない。高度な課題発見・解決能力と論理的思考力が求められている。

一見複雑な図形や数列の中に法則性を見いだすことで正解に一気に近づけるようになっている問題もある。試されるのは、未知の状況に接して狼狽(ろうばい)することなく、もてる知識を総動員して道理を見極める能力にほかならない。

条件に合う数字を地道に書き出すことでようやく答えにたどり着ける問題もある。出題者は根気のある子に来てほしいのだ。

算数オリンピックの問題とそっくりなものも多い。いや、算数オリンピックが中学入試の良問を参考にしているのかもしれない。

就職試験のSPIにも対応できる

そのような良問のサンプルをいくつかここで紹介できればいいのだが、中学受験問題は、一問一答のクイズとはわけが違う。ペロリと切り貼りできるような単純な構成にはなっていない。

国語はもちろん、算数や理科や社会でも長い課題文やたくさんの資料があって、小問の(1)や(2)は着眼点を絞るための誘導的問題になっていて、(3)や(4)が本丸だ。本丸が合否を決める。一つの大問をすべて掲載し、しかも解説まで載せようとすると、それだけで一般的なWebの記事の何ページ分にもなってしまう。

インターネットでも各校の過去問を見ることはできる。名前を聞いたことのある学校の、国語の解答欄だけでも見てみてほしい。記述式の問題が多いことがわかるはずだ。先の大学入試改革では、たった30字、40字、120字程度の記述式問題を出すか出さないかで大騒ぎになったが、その程度のものは中学受験生には朝飯前なのだ。

また、実は中学受験算数のいわゆる「一行問題」と呼ばれる基礎的な問題は、就職活動で受検することが多いSPIという適性検査の「非言語分野」の問題にそっくりであることを知っているだろうか。「一行問題」すら、ビジネスにも通用する実用的な算数だということだ。

新着記事