コロナ禍2年目の大学入試
コロナ沈静化で大学志望動向も変化 首都圏の大学の志望者戻る
2021.11.25

新型コロナウイルスの感染が沈静化してきたことで、2022年度大学入試の志望動向に変化が出てきたことが、予備校の最新模試でわかりました。今春入試は、新型コロナへの懸念から、地方の受験生が東京などの大学を敬遠する動きが見られ、都市部の私立大学の志願者数が大幅に減りましたが、再び都内の大学の志望者が戻りつつあります。今春入試で落ち込んだ文系の志望者も復活しています。(写真は、初めて行われた大学入学共通テストの試験会場に向かう受験生たち=2021年1月16日、札幌市北区の北海道大学、豊間根功智撮影)
法・経済系など文系の志望が復活
河合塾や駿台・ベネッセが10月中旬から下旬にかけて実施した模試で判明した。新型コロナウイルスの感染者数が大きく減り、収まりつつあった時期だ。
「10月模試での一番の変化は、遠隔地の受験生が東京の大学を再度、視野に入れ始めたことです」と言うのは、河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員。「昨年は遠隔地から移動して首都圏の大学を受験することが敬遠され、今年夏の模試までは同じ傾向が続いていました。10月模試では、北海道や九州、中国・四国から首都圏の大学を志望する受験生が戻りつつあります。東北や甲信越ではこの傾向がまだ見られませんが、コロナがこのまま沈静化する状況が続けば、東北や甲信越からも戻ってくる可能性があります」
学部系統別の志望状況にも変化が表れている。駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「文系の志望が復活しています。そもそも昨年が減りすぎで、文系の大学・学部にとっては暗黒時代でした。『文低理高』(文系の人気が低く理系が高い)が緩和され、本来の姿に戻りつつあります」と話す。
10月の駿台・ベネッセ模試で見ると、国公立大も私立大も法、経済・経営・商が増加に転じている。志望者の前年比の指数(百分率)は、1年前(2020年÷19年)は国公立大が法85、経済・経営・商86、私立大が法91、経済・経営・商94だったのが、今回(21年÷20年)は国公立大がそれぞれ104、106に、私立大が108、102になり、プラスに転じている。
「増加が目立つ法は、公務員志向の表れです。地方を中心に、地元の地方公務員になりたい人が増えています。政令指定都市や東京23区の公務員も人気です。経済・経営・商も、志望者が戻ってきました。コロナ以外の要因で志望者が減っていたわけではないので、経済が復活すれば志望者は戻ります」(駿台・石原氏)
ただ、外国語、国際関係は志望者の減少が続いている。河合塾の近藤氏は「外国語、国際関係はコロナ前の一昨年までは人気が高く、花形学部でしたが、コロナによって留学しづらくなり、その影響をひきずっています。人気が回復するまでには、もう少し時間がかかると思います」と言い、駿台の石原氏は「外国語、国際関係はコロナの影響が一番残るでしょう。志望者が戻るのは2年くらい先ではないですか」と見ている。