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すごくてやばい偉人たちの「ギャップ」 歴史を学ぶ醍醐味、本郷和人さんに聞く

2021.12.09

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佐々木 正孝
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偉人の「やばさ」はどうやって知る? 歴史を学ぶ際のポイント

――教科書では偉人たちのすごい功績ばかりが目立ちます。歴史や偉人が身近に感じられるような、やばいエピソードはどうすれば知ることができるのでしょう?

『やばい日本史』シリーズなどを通して、ある偉人の一風変わった面に興味を持ったら、さまざまな研究者が掘り下げた書籍を当たってみるのはありでしょう。その場合、書籍を見極めるポイントは、「現代に生きる私たちの感覚に頼りすぎていないか」という点です。

例えば、犬を見たら私たちは「かわいい」と感じますよね。だけど、世界には同じ犬を見て「おいしそう」と思う人たちもいます。この感じ方の違いは文化の違いで、ここを踏まえるからこそ異文化交流ができます。

歴史について学ぶこと、それは現代に生きる私たちと昔の人との異文化交流です。同じ日本に生きた人だから、もちろん感覚は似ているけど、今の私たちとはちょっと違う。その「ちょっとした違い」を意識して書かれた本こそ、良書だと私は考えています。

もちろん、これはあくまで歴史研究の観点。フィクションはその限りではありません。ドラマや小説、漫画、テレビの歴史バラエティー番組などのエンターテインメントでは、思いっきり想像して楽しんでもらえればと思います。

――わかりやすい「やばい面」は面白いけど、そこにとらわれすぎず、多様な視点を持つ、ということでしょうか。

そうですね。織田信長を例にとって考えてみましょう。彼は天下統一にチャレンジしました。戦国時代を過激に、思い切って変革した英雄として捉えることができます。しかし、自分に刃向かった延暦寺を焼き討ちにし、女性や子どもを含めて何千人も殺害しています。

戦国武将であれば、そうした残酷な面をみんな持っているものです。戦国時代という世の政治、軍事における厳しさ、残酷さは無視できません。信長がやったことを追ううちに「英雄」だけでは語れなくなり、人間が持つ重層的、複合的な面を掘り下げていくことにもなるのです。ここまで進めば、学問として突き詰める入り口に立てるでしょう。

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