Think Gender

女性学長シンポで語られた「日本の大学のジェンダーギャップ」

2021.12.07

author
中村 正史
Main Image

日本の大学には女性の学長が少ない。分野によっては女性の研究者自体が少ない。そうしたなか、「女性学長はどうすれば増えるか?~日本の大学の構造的特質と将来展望」をテーマにしたシンポジウムが11月末、2日間にわたってオンラインで行われ、著名な女性学長らが自らの体験を語った。(写真は、オンラインで開かれたシンポジウムで語り合う、右上から時計回りに高橋裕子・津田塾大学長、富田敬子・常磐大学長、田中優子・前法政大総長。左上はファシリテーターの米澤彰純・東北大教授)

「私は男子校に入ってきたの?」

シンポジウムは、日本の大学のダイバーシティーとリーダーシップのあり方に取り組む研究プロジェクト「女性学長研究会」(研究代表者:河野銀子・山形大教授)が主催した。女性学長を対象にした研究は、同グループによるものが日本で初めてという。

国内の約800大学のうち、女性学長は13%にすぎない。米国の30%、EUの平均22%に比べても、目立って低い。アカデミズムの世界にもジェンダー格差は根強い。

参加した女性学長は、高橋裕子・津田塾大学長、田中優子・前法政大総長、富田敬子・常磐大学長、島袋香子・北里大学長、林佳世子・東京外国語大学長、小林良江・群馬県立女子大学長、日比谷潤子・前ICU学長の、国公立と私立大を合わせた7人。

1日目に前半の3人、2日目に後半の4人が登場し、それぞれ自らの研究者や学長としての体験を振り返り、20分の基調講演の後、ディスカッションを行った。

講演に先立ち同研究会の研究報告があり、女性学長の共通点としては、①自分の意見・主張を明確に発言する②大学を取り巻く危機的な意識を背景に誕生したケースが多い③マイノリティーとしての経験から多様性を理解し、多様性とコミュニケーションを重視することや、男性学長は管理職からの内部登用が多いが、女性学長は他大学や他機関からの登用などキャリアが多様なこと――が報告された。

基調講演で高橋・津田塾大学長は、「津田塾大は歴代11人の学長・塾長のうち10人が女性だが、学長としてさまざまな会議に出席すると景色が一変し、『私は男子校に入ってきたの?』と強い違和感を覚えた」と語った。

高橋学長が「小さな成功体験」と紹介したのは、日本IBM主宰の天城学長会議のこと。2016年に初めて参加した時、46人の学長の中で女性は2人だけ。グループ討議の場で「この風景を変えなくてはならないと思いませんか」と発言すると、男性学長から賛同の声があり、翌年から女性学長が増え始め、今年はオンラインでの開催ながら12人になったという。

田中・前法政大総長は、「ずっと男性社会の中で過ごし、90%が男性で当たり前だと思っていた」と話し、専任講師になった時に「男性の3倍働きなさい。そうしないと一人前とは見なされませんよ」と男性教員から言われたエピソードを紹介した。

田中前総長は東京六大学で初めての女性学長として話題になったが、法政大ではそれ以前に総長選に立候補した女性教員がいなかった。かつて所属していた教養部の改組をめぐって学内が割れ、当事者として大学をどうとらえるかを考えた経験が土台にあり、社会学部長の時に、郊外にある多摩キャンパスの課題が解決されないまま少子化が進めば全学に影響が及ぶという認識から、「落選しても、多摩キャンパスをどうするのかというメッセージを残すことができると思った」と総長選に立候補した理由を語った。

新着記事