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女性学長シンポで語られた「日本の大学のジェンダーギャップ」

2021.12.07

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中村 正史
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女性学長自らロールモデルになる

林・東京外国語大学長は、国立大86校の中で女性学長は3人しかいないことを紹介し、国立大の学長は教員の多い医学系や理工系、農学系から選出される傾向が強く、この分野に女性教員が少ない問題点を指摘。「理系で学ぶ学生、大学院生、研究者を増やす仕組みをつくるしかない」と語った。

女性学長を増やすにはどうすればいいのかというテーマには、次のような意見が出た。

「女性学長は13%しかいないが、同時に13%いることも理解されていない。日本の大学が重視しているグローバルスタンダードから大きくはずれていることを周知することが大事」(高橋・津田塾大学長)

「政治家などに比べれば女性学長を増やすハードルはそれほど高くない。女性学長が『女性ゆえにこういう変革ができた』とアピールすることが必要。女性学長がロールモデルとなるべく職務を全うすること」(富田・常磐大学長)

ロールモデルを増やすことと並んで、多かった指摘が、女性のネットワークをつくっていくことの大切さだ。

「何でも一人でやろうと思わないこと。女性学部長、女性理事、女性職員など、男性社会の大学の中に女性のネットワークをつくることが大事」(田中・前法政大総長)

一方で、学長として女性教員に責任ある地位に就いてもらおうと声をかけても、「いえ、私なんか」と断られた経験を複数の学長が語り、「私たちがメンターになって、小さなリーダーをたくさん育てていかないといけない」(小林・群馬県立女子大学長)という声も多く出された。

日本社会の変革の遅れを指摘する意見もあった。

「30年間、国連で勤務してきたが、ジェンダー平等を組織として掲げており、女性として差別されることは一切なかった。日本では20年前、30年前にも議論していたが、30年経って戻ってきて、ジェンダーの変わらなさを実感した。スピード感を持って変えていくための議論をしなければいけない」(富田・常磐大学長)

2日間のディスカッションを終えて、研究代表者の河野・山形大教授は次のように感想を述べた。

「現役の学長や副学長を含めて500人以上の申し込みがあり、男性の参加者が割と多かったのが特徴です。研究会として行ってきた調査研究をベースに人選した学長らに登壇してもらえ、社会に発信できたことに意義があると感じています。田中先生がおっしゃったように、研究は社会に向けて行うものですから、女性学長の少なさや、どう増やすかについて、多くの人に問題意識を持ってもらえるきっかけを作れたと思います」

2022年1月22日には、米国、英国、中国の女性学長や教員、ネットワーク代表者が参加する国際シンポジウムが開かれる。

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