2025大学入試どうなる

必履修化の「情報」、先生が足りない! 25年共通テスト、浪人生向けの対応は?

2021.12.08

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山下 知子
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今の中学3年生が高校に入る来春から新しい学習指導要領が実施され、「情報Ⅰ」が必履修科目になります。その生徒たちが高校3年生で受ける2025年の大学入学共通テストへの出題も決まりました。心配なのが専門の教員の不足です。文部科学省の調査では、公立高校で情報科を教える教員の2割以上が専門の免許を持っていません。25年実施の共通テストは浪人生も受験することから、全国高校長協会は10月、「一律に課すことを慎重に検討してほしい」と国立大学協会に要望しました。

4人に1人は臨時免許か免許外

教科「情報」は、2003年度実施の学習指導要領から始まった。現在は「情報の科学」「社会と情報」のどちらかを学んでいる。プログラミングやデータ分析は必修ではない。一方、来春から実施される学習指導要領では、プログラミングなどを学ぶ「情報Ⅰ」(必履修科目)と、発展的な内容を学ぶ「情報Ⅱ」(選択科目)に再編された。

文部科学省の調査によると、20年5月1日現在、全国の公立高校で情報科を担当している教員は5072人。うち、情報科の免許を持つのは3839人(約76%)だった。残る1233人の内訳は、臨時免許状256人、免許外教科担任977人だった。

臨時免許状は、普通免許状を持つ教員を採用できない場合に限り、3年を限度に例外的に授与する「助教諭」の免許状。免許外教科担任は、他教科の教員免許状を所有する校内の教諭などが、1年に限って免許外の教科の担任をすることだ。

16年度の免許外教科担任の許可件数を教科別にみると、高校では▽情報科1248件▽公民394件▽工業336件▽地理歴史242件――で、情報科が突出している。朝日新聞によると、20年度に情報の免許を持つ正規の教員が5割以下の都道府県は、栃木や和歌山など約4割にのぼった。

情報科における臨時免許状および免許外教科担任数の都道府県別グラフ
情報科における臨時免許状および免許外教科担任数の都道府県別グラフ

週2コマ、「配置しにくい」

こうした「不足」の背景には何があるのか。

情報科で、臨時免許状と免許外教科担任数が最も多かった長野県。その背景について長野県教育委員会の担当者は、県面積が広く、小規模校が多いことを挙げる。「小さな高校だと、1学年1クラス。『情報Ⅰ』は2単位で、週2コマの授業しかない。学校規模で教員の配置数は決まっており、他教科の関係で難しい面がある」

県教委では、今年度、情報科の免許のみを持っている教員の採用を始めた。研修を充実させていくとともに、情報科の免許を持つ教員の再任用を進めていく考えだ。「共通テストにも情報が入ってくる。専門性を持った先生が必要で、それにはきちんと対応していきたい」と話す。

次に多かった栃木県の担当者も「2単位しかなく、そのために1人の教員を置くのは難しい」と話す。多くの教員は週17コマの授業があり、また、そのくらいの授業数を持たないと回らないという。

栃木県も学校の「小規模化」が進む。県立高校普通科で1学年8クラスあるのは、宇都宮市内にある2校のみ。同市以外にある高校の多くは4~6クラスで、少子化の影響で近年は4クラスが増えている。

栃木県教委は20年度から情報科での教員採用を始め、1人ずつ合格を出した。ただ、大規模校など限られた高校での配置になりそうだ。県教委の担当者は「小規模校に配置して他校と兼務させることも可能だが、担任や校務、部活などで制約が出てくる」と頭を悩ませる。

情報科の教員は、この教科が始まった03年の前に研修を受けて免許を得た人も多い。全国高校長協会長の杉本悦郎・都立小金井北高校長は「当時はプログラミング指導の研修はほぼなかった。免許があるといっても専門性の差は大きい」と指摘する。「小学校からのプログラミング教育が始まり、高校でもプログラミングや情報デザインなどに関する学習の拡充が期待されているが、各学校の指導体制は一言では語れない多様な状況があり、難しい面があるのは事実だ」

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