一色清の「このニュースって何?」

「民主主義サミット」開かれる → 世界地図で民主主義の分布を見てみよう

2021.12.10

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、民主主義サミットを提唱したアメリカのバイデン大統領=2021年11月23日、ランハム裕子撮影)

権威主義の台頭で民主主義国は少数派に

12月9日と10日にわたってオンラインで「民主主義サミット」が開かれています。アメリカのバイデン大統領が大統領選挙のときに提唱していたもので、世界の民主主義を促進するために開く初めての首脳会議です。

なぜ今、民主主義サミットを開くのでしょうか。それは、最近の世界では、権威主義の国が力を増す傾向にあるからです。権威主義は専制主義ともよばれ、強権的な政治体制のもとで市民の権利を制限して統治するやり方です。権力が一人や一党に集中する独裁主義である場合が多くなっています。スウェーデンの調査機関は、「2019年の世界の民主主義国・地域は87、非民主主義国は92となり、18年ぶりに民主主義国が少数派になった」というリポートを出しました。また、20年以降のコロナ禍では、人の動きを強権的に抑える権威主義国のやり方が効果を発揮しているところがあります。

アメリカにとって特に気になるのは、中国です。中国は共産党一党支配の権威主義の国ですが、経済成長が目覚ましく、このままでは民主主義より権威主義のほうがすぐれているという考えが世界に広がりかねません。民主主義国のリーダーと考えているアメリカは、仲間の結束を強め、民主主義のほうがすぐれていることをアピールしたいという思惑があるのです。

中国は、サミットに対し「中国には中国流の民主がある」などと主張し、自国の一部としている台湾が招待されていることについては「断固反対する」と強く反発しています。

こうした状況の中で、アメリカが民主主義国・地域だと認めて招待する世界の109の国と2地域(台湾、欧州連合〈EU〉)が公表されました(招待国リスト〈英語版〉はこちら)。世界の国の数は、日本が承認している195カ国に日本を加えて196カ国、国際連合に加盟しているのが193カ国です。この数からみると、サミットには世界の半分強の国が招待されたことになります。あくまでアメリカの判断ですので、民主主義国かどうかあやしいところも一部含まれていますが、その判断がおおむね正しいとして、世界地図を見ながら世界の民主主義の現状を見ましょう。

地域別(外務省ホームページの分類)に招待されている国をみると、割合が高いのは、オセアニア(大洋州)、南北アメリカ、ヨーロッパの3地域です。オセアニアは、16カ国のうち14カ国が招待されています。南太平洋の二つの小さな島国が招待されていないだけなので、この地域はほとんどが民主主義国だと考えていいと思います。

南北アメリカは35カ国のうち26カ国(アメリカを含まず)が招待されています。ただ、社会主義国のキューバや、正当な選挙が行われていないといわれるベネズエラのほか、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア、ハイチ、ボリビア、ホンジュラスの各国は招待されていません。

ヨーロッパは54カ国のうち39カ国とEUが招待されています。冷戦時代に西ヨーロッパだった国々はほとんど招待されていますが、かつて東ヨーロッパだった国や旧ソ連から独立した国などには、招待されていない国が多く含まれています。プーチン大統領が圧倒的な力を持ち長期政権を敷くロシア、大統領の独裁が問題になっているベラルーシやハンガリーなどは招待されていません。

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