企業入社難易度ランキング
「企業入社難易度ランキング2021」機械・鉄鋼・金属・造船 1位は日本製鉄、三菱重工業を抜く
2021.12.14

大学入学時の難易度が高い、つまり地頭がよい学生は、就活でどのような企業を志望し、また企業は実際にどのような大学の学生を採用しているのか。大学通信は大学へのアンケート調査で収集している企業別就職者数と、大学入学時の偏差値を組み合わせて、「企業入社難易度」を算出した。業種別の今回は、機械・鉄鋼・金属・造船。大学通信の井沢秀・情報調査・編集部部長が解説する。
換気需要で好調のダイキン工業が3位
機械・鉄鋼・金属・造船は、日本の成長を支えてきた企業が多く、重厚な製造業というイメージだが、近年は時代に即した新規事業を積極的に展開し、難関大の理系学生を中心に人気は根強い。
1位は、日本最大手の鉄鋼メーカーの日本製鉄。旧新日本製鉄と旧住友金属工業が2012年に統合し、19年に社名を日本製鉄に変更した。大口取引先との鋼材価格交渉で大幅な値上げを実現し、業績は好調で、22年3月期は最高益になる見通しだ。
10月中旬、トヨタ自動車を特許侵害で東京地裁に提訴し、業界を驚かせたことは記憶に新しい。
採用判明数が昨年より233人減少して4割にとどまり、入社難易度が1.8ポイントアップしたことで、昨年の8位から大きく順位を上げた。全業種の総合ランキングでも、昨年の123位から74位に上がった。
採用が多い大学は、大阪大(17人)、東京大、京都大(各12人)、九州大(11人)、東北大、早稲田大(各10人)など。入試難易度50以下の大学は、昨年の31大学から9大学に減少した。
2位は三菱重工業。入社難易度は昨年より0.2ポイント上がったが、日本製鉄の急上昇で昨年の1位から2位になった。造船、発電設備、航空機、ロケット、鉄道車両、防衛など幅広い事業を展開する総合重工メーカーの最大手。国産旅客機事業を凍結したことで、費用を削減し、損益が大幅に改善した。
採用が多い大学は、創業の地である長崎造船所が近い九州大(21人)が最多で、大阪大、慶應義塾大(各15人)、東京工業大、京都大(各14人)などが続く。
三菱重工業とともに三大重工業メーカーと称される企業は、IHI(旧・石川島播磨重工業)が6位。採用が多い大学は、東北大(9人)、九州大(8人)、早稲田大(7人)、京都大、慶應義塾大、東京理科大(各5人)など。
川崎重工業は8位。本社が神戸市にあることから、大阪大(19人)、大阪府立大(16人)、九州大(13人)、名古屋大(12人)、同志社大(11人)などと、近畿圏の大学からの採用が多くなっている。
3位は、世界最大手の空調メーカー、ダイキン工業。コロナ禍で換気の重要性から、家庭用エアコン販売が好調で、22年3月期の連結純利益は、過去最高の2030億円(前期比30%増)になる見通しだ。
採用が多い大学は、大阪大(41人)、神戸大(22人)、同志社大(20人)、大阪府立大(19人)、関西大(15人)などとなっている。
4位は、千代田化工建設。入社難易度が昨年より0.9ポイントアップし、9位から上がった。LNG(液化天然ガス)プラントのシェアが高く、脱炭素社会を見据えた水素サプライチェーン事業を進めている。
採用数は29人と少ないが、19大学から採用している。複数の採用があった大学は、東京工業大(5人)、早稲田大(4人)、横浜国立大(3人)、熊本大(2人)がある。