フツーじゃない普通科

普通科改革最前線! 島根県立隠岐島前高校の「地域共創科」とは?

2021.12.23

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笹原 風花
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外の力を積極的に借り、学校だけで完結させない

――「地域未来共創」や「グローカル未来共創」の授業は担任が担当するのですか?

大野:地域と学校とをつなぐ「コーディネーター」が、隠岐島前高校には4人います。これまでも教員と一緒になって授業づくりをしてきており、「地域未来共創」や「グローカル未来共創」の授業も協働して担当します。コーディネーターに加えて、公立塾・隠岐國(おきのくに)学習センターのスタッフが携わることもあると思います。また、高校のある島前地域に限らず、外部メンター的な存在や卒業生にオンラインでサポートしてもらうことも考えています。外の力やICTの力を積極的に借り、学校だけで完結させない、閉じないことが大事です。

――「地域未来共創」や「グローカル未来共創」の成果はどう測り、どう評価するのでしょうか?

宮野:成果発表会のようなかたちで、何かしらのアウトプットの場を設ける予定です。高校生からの発表だけでなく、関わってくれた地域の方や大人と一緒に発表するなど、成果発表の場も「共創」でありたいと考えています。

大賀:学校設定科目では、5段階の数字による評定と文章(記述)による評価のいずれかを学校として選ぶことになります。探究の成果を数字で表すことの難しさがある一方で、文章による評価科目が多すぎると進路選択時に支障が出てくる可能性も否定できません。評価の方法についても外の力を借りながら、2022年度入学生が2年次に2学科に分かれるまでの1年間でしっかりと議論したうえで方針を決めたいと思っています。

島留学生を温かく支える地域の「島親」さんたち=隠岐島前教育魅力化プロジェクト提供
島留学生を温かく支える地域の「島親」さんたち=隠岐島前教育魅力化プロジェクト提供

単一の価値観を良しとしない、多様性のある学校でありたい

――「普通科」を残したのはなぜですか?

大野:単一の価値観に基づいた単一の学びというのは生徒たちにとって望ましくなく、多様性のある学校でありたいという思いが芯にあります。地域共創科では履修できる教科・科目数が限られるため、普通科でしっかりと受験科目を学びたいというニーズにも応えるべきだと考えました。

地域共創科で学んだ生徒の進路は多様であることが予想されますが、大学進学の場合は総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)が中心になるでしょう。普通科と地域共創科のどちらで学ぶかが卒業後の進路選択にも影響するなか、中学3年生の時点で決めてもらうのは難しいだろうと考え、入試では「くくり募集」として普通科・地域共創科を分けずに募集することにしました。1年次に何度も面談を行い、2年次からどちらの科で学ぶかを決めていきます。

――2022年度から高校で本格的に探究が始まります。すでに取り組まれてきた経験から、どう感じていらっしゃいますか?

大賀:私自身も含めて、教員は「教えたがり」です。でも、生徒に知識や技能を「教える」というスタンスでは、隠岐島前高校が掲げ、社会でも求められる主体性・協働性・探究性・社会性は身につきません。生徒の主体性を尊重して見守りつつ、生徒をよく観察して何に困っているのか、どういう支援が必要かを見極め、やりすぎない範囲でヒントを与えたり機会を提供したりするという探究の指導法は、教員のあり方、生徒への関わり方の価値観が転換する一つの機会になるのではないでしょうか。

大野:探究の話題になると、「生徒のやりたいを引き出す」といった話になりがちですが、やりたいことがまだなくたっていいじゃないかと。大人が生徒に「やりたいことは?」「夢は?」「目標は?」と問いすぎることに注意したいと、自戒も含めて思います。大人はすぐに答えや成果を出したがりますが、大事なのは、いかに待てるか。先生にとっても、探究に取り組むことが新たな挑戦になるのではないかと思います。

隠岐島前高校の生徒たち=隠岐島前教育魅力化プロジェクト提供
隠岐島前高校の生徒たち=隠岐島前教育魅力化プロジェクト提供

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