中学受験オンライン相談室

第4回◆志望校選びのチェックポイントは「下校風景」「げた箱」「教頭先生」

2022.01.05

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加賀 直樹
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朝日新聞EduA編集部は昨年12月3日、オンライン相談室「中学受験生が大幅増!? 後悔しない志望校選び」を開催しました。約2100人の参加応募者から寄せられた疑問や不安に、都内で中学受験専門塾を主宰する矢野耕平先生と、「新聞活用」連載でおなじみの清水章弘先生が答えました。そのエッセンスを5回にわたり再録します。(写真は右から、本番前に談笑する矢野耕平、清水章弘の両先生と、司会の山下知子編集長)

矢野耕平

話を聞いた人

矢野耕平さん

中学受験専門塾スタジオキャンパス代表

(やの・こうへい)1973年生まれ。大手進学塾勤務後、東京・自由が丘と三田で中学受験専門塾2校を展開。国語専科博耕房の代表も務める。著書に『男子御三家』『女子御三家』(ともに文春新書)、『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書) 、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書・共著)など。2児の父。

清水章弘

話を聞いた人

清水章弘さん

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー代表

(しみず・あきひろ)1987年生まれ。東京大学教育学部卒、同大学院修了。東京・京都・大阪で勉強のやり方を教える塾を運営。朝日新聞EduAで「200字まとめ作文」などを連載。TBS系「教えてもらう前と後」などテレビでは「赤門の神」の異名も。『自ら学ぶ子を育てる! 清水先生の自宅学習相談室』(朝日新聞出版)など著書12冊。

学校説明会だけでは不安

■お悩み・その⑦  学校説明会、オープンキャンパスに参加しただけで、子どもの目指す将来像へ近づくための学校選択がきちんと出来るのか不安です。ネームバリューにとらわれず、子どもに合った学校なのかどうかを見極めるポイントを教えてほしいです。(滋賀県・お勤め・小学4年)

矢野 僕が学校を見る時に、いつも考えるのは、「この学校は6年間をかけて、どういう子を育てていきたいのかな」。これが「軸」になります。保護者の方もそういう視点で学校を見るべきだと思います。部活動、学校行事、もちろん授業カリキュラムもいろいろありますが、その「軸」になる部分に付随するものでしかないと思います。学校見学は「外向け」のイベント。その学校の、普段の下校風景を見ましょう。学校の雰囲気が何となく伝わってくると思います。子どもたちの顔を見ながら、我が子をそこにはめ込んでみる。「ここにいてほしいな」「ここにはちょっと似合わないかな」。ぜひ一度試しに訪れることをお勧めします。

清水 登下校は大賛成ですね。校内に入れる時に、ちらっと観察すると良いのがげた箱。学校教育では「げた箱を見ればその学校の落ち着きがわかる」と言う人もいます。家と同じく、学校も玄関は「顔」。もちろん年季が入っていても良いのですが、子どもたちにとっての玄関で、「今日も学ぼう」「今日も部活頑張ろう」と思うところですから、汚れすぎていたり、散らかりすぎていたりすると、「学校として指導を大切にしていないのでは」と。

矢野 在校生のあいさつもよく見るようにしています。「言わされているあいさつ」ってわかるんです。渋々あいさつしているのと、心から「こんにちは」って発するあいさつはまったく違います。

清水 校長先生の話で決める方が多いじゃないですか。もちろんわかるけれど、学校運営を手伝う立場から言うと、私立の場合は校長と理事会がある。仮に校長先生の話が個性的でなくても、学校として雰囲気が良く、統制の取れているところもあるわけです。現場の先生が力を発揮している証拠でもある。校長・広報担当者以外の、(校外対応に)慣れていない先生に、ちょっとした質問をしてみるのも良いと思います。矢野先生は、学校説明会ではどんな質問をされますか?

矢野 「どんな子が多いんですか」って質問してみて、答えを聞くのが楽しみですね。私は学校でポイントになるのは、「教頭先生」だと思うんです。「現場のトップ」的役割で、どんな考え方のもとでそこに勤めていらっしゃるのかは重要だなと思います。

清水 面白いですね。学校運営において教頭先生って一番忙しいじゃないですか。校長の理念を現場に伝えていく、会社でいう執行役員。授業を持つ先生もいますからね。

矢野 プレイングマネジャーの性質を持つ教頭、副校長、面白いですね。

山下 もっと「素(す)」の、日常の子どもの姿、現場にいる先生の声をなるべく聞き取っていくのが、もしかしたら学校選びのスタートラインかな、と思います。

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