どうなる中学・高校入試

2022年度中学入試直前情報②サピックス 「台風の目」の広尾学園小石川 各家庭の基準で選ぶことが定着

2021.12.23

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葉山 梢
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首都圏の中学入試の出願が始まっています。コロナ禍では2回目となる入試。首都圏の難関校に強い大手進学教室・サピックスの広野雅明・教育事業本部長に注目校や直前対策について聞きました。(写真は、密を回避するため入試会場を三つに分散した栄東中学校=2021年1月10日、さいたま市、藤原伸雄撮影)

広野雅明さん

話を聞いた人

広野雅明さん

サピックス教育事業本部長

ひろの・まさあき/サピックス小学部で、創業期から現在まで算数の講師として現場に立つ。算数科教科責任者、教務部長、広報企画部長などを歴任。現在は教育事業本部の本部長として、入試情報、広報、新規事業の諸部門を統括。

自由な校風、グローバルな学校が人気

――首都圏の中学受験の受験者数は増えているのでしょうか。

サピックスの公開模試(サピックスオープン)の受験者数はほぼ横ばいの約7千人です。サピックスに通う生徒の数はやや増えているので、(難関校を志望する受験生が多く受ける)サピックスオープンを他塾から受験する人数はそれほど増えていないということでしょう。各社の模試の受験者数を見ると全般的には増加傾向と言えるので、ボリュームゾーンの中堅層が増えているのではないでしょうか。背景には、東京都文京区、港区、中央区といった中学受験率の高い地域で子どもの数が増えていることもありそうです。

――2022年度の注目校は?

受験者数、偏差値から見て伸びが大きいのは広尾学園小石川です。開校初年度の21年度に募集定員よりかなり多い合格者を出しているので、2、3年目は絞らざるをえません。非常に難しい学校になっています。台風の目になりそうですね。

今年の受験生が強気か弱気かというと、どちらかというと弱気な人が多いと思います。難関校で志願者数を増やしているところはほとんどありません。

男子の2/1午前入試では、武蔵の志願者が増えています。浦和高校などを引っ張ってこられた杉山剛士校長が19年に着任。昔からゼミナール形式の授業や国際交流に力を入れている学校ですが、今のアクティブラーニングやグローバル教育の流れで見直されています。他に麻布、慶応義塾普通部、渋谷学園渋谷といった、自由な校風で個性を大事にする学校が人気です。

女子の2/1午前入試で一番増えているのは女子学院です。他にも吉祥女子、渋谷学園渋谷といった、男子と同じく、自由で子どもの自主性を尊ぶイメージの学校の人気が上がっています。もう1校挙げるなら中大付属横浜。「中高6カ年は大学受験も大事だけど、それだけではない」という今の保護者の気持ちが伝わってきますよね。超難関校や特定の学校に集中するというよりは、それぞれの家庭の基準で選ぶことが定着したといえるのではないでしょうか。

広尾学園、三田国際、渋谷学園幕張、渋谷学園渋谷といった共学でグローバルな学校のグループも変わらず人気です。これらの学校は受験者数が減っても難易度が下がらない。ダイバーシティーの流れで共学、グローバル社会に対応する英語教育やICT教育が、今まさに保護者が求めている教育の形なのではないでしょうか。15年度に共学化、校名変更した開智日本橋、21年度からの広尾学園小石川も人気となっています。22年度から募集開始するサレジアン国際学園(旧・星美学園)、千代田国際(旧・千代田女学園)もこれらの学校に続くか注目です。

広尾学園小石川の午後入試に臨む受験生と保護者=2021年2月1日、東京都文京区、柏木友紀撮影
広尾学園小石川の午後入試に臨む受験生と保護者=2021年2月1日、東京都文京区、柏木友紀撮影

――大学の付属校はどうでしょうか。

付属校の人気も続いています。早慶でいえば、22年度入試(22年2月実施)は早稲田より慶応。21年度は早稲田の方が難しかったので、隔年現象なのかもしれません。ただ、早稲田実業は男子の定員を削っています。早稲田中も新校舎が23年に完成予定で、また大きな動きがあるかもしれません。

GMARCHも全体的に人気が高く、これは私立大の定員厳格化の影響が大きいと思います。中央、法政、明治の付属校は、内部推薦を維持したまま他大学を受けられる制度があるのが魅力です。学習院も大学の学部が少ないため、他大学受験が当たり前になっています。日大の付属校も人気です。大学の不祥事があれほど騒がれても、中学入試には影響がないようです。

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