「STEAM」で未来をつかむ

STEAMの「A」って何? 定義はさまざま 教科の壁乗り越え、知識を現実に生かす学び

2022.01.11

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斉藤 純江
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学習指導要領の改訂で探究や総合学習を重視する傾向が強まり、STEAM教育に取り組む自治体や学校が増えています。STEAM教育とは、どのような学びなのでしょう。専門家のインタビューや、全国の先進的な取り組みを通して考えます。今回は、STEAM教育に詳しい東京大大学院情報学環教授の山内祐平さんに話を聞きました。

山内祐平

話を聞いた人

山内祐平さん

東京大大学院情報学環教授

やまうち ゆうへい 専門は教育工学。研究テーマは「情報社会における学習環境」。大阪大助手、茨城大助教授、東京大准教授などを経て現職。編著に「学習環境のイノベーション」など。

STEAMの「A」の定義に正解はない

STEAM教育の原点は、米国で1990~2000年代に発展してきた「STEM教育」にあります。理数教育は、近代国家として産業を支えるうえで重要ですから、どの国でも重視しています。算数や理科の知識のうえに技術やテクノロジーが成り立っているのですが、子どもたちにとっては、それぞれの教科を教わるだけでは、その知識が実際の技術やテクノロジーとどのように結びついているかが見えません。なぜ学ぶのかがわからなければ、興味も湧きません。そこで、個々の知識をバラバラに教えるだけでなく、たとえばその知識は自動車やコンピューターの設計や製造にどう使われているのか、実際に応用されている姿と関連づけて教えようというのが、STEM教育でした。

ところが、これからの時代に必要とされる創造力や新たな技術を生み出す力が、STEM教育だけでは育めない、という考えが生まれました。そこでSTEMに「Arts、Art」の「A」を加えて誕生したのが、STEAM教育です。

STEAM教育も米国で始まりました。「Arts、Art」をどうとらえるかによって、大きく二つの考え方があります。一つは、「A」をリベラルアーツのように幅広くとらえる考え方、もう一つは、イノベーションのためには美術やデザインによって創造性を鍛えることこそが大事だという、芸術やアートの創造性を重視した考え方です。

STEAM教育は、この「A」を軸に、取り組む人がそれぞれの解釈で定義し、実践しているのが実情で、定義に「正解」はありません。日本でも、両方のとらえ方がありますが、学校現場では、多くがリベラルアーツとしての定義で実践されています。

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