一色清の「このニュースって何?」

成人年齢が18歳に → 「なぜ今?」三つの理由を知っておこう

2022.01.14

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一色 清
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結婚年齢の男女差は「差別的」

三つめは、民法で決められている男女の結婚年齢を統一しようとしたためです。現行の民法では、結婚できるのは男性は18歳以上、女性は16歳以上となっています。結婚年齢は民法が制定された1898(明治31)年に男性17歳以上、女性15歳以上と決められました。大正時代に発表された童謡「赤とんぼ」に「十五で姐(ねえ)やは 嫁に行き」という歌詞がありますが、昔の結婚年齢が若かったことを示しています。戦後の民法改正で男性18歳以上、女性16歳以上となりましたが、2歳の差は維持されました。医学的な見地から「女性のほうが男性よりも身体の発達が早い」とされていたためだそうです。

この男女差については、「女性は早く結婚し、家事をするもの」という性別の役割分担を促し、男女間の不平等を助長するものだという批判が出るようになりました。1996年には法務大臣の諮問機関である法制審議会が「男女とも18歳に統一するべきだ」と答申しました。しかし、見直されないでいると、2003年には国連の女子差別撤廃委員会から「差別的」として改正するよう勧告されました。男女とも18歳にするという流れは止めようがなくなりました。

その流れは民法の成人年齢の引き下げ議論にも影響を与えました。成人年齢と結婚できる年齢が18歳で一致すると、成人になったら結婚できることになり、理屈がとても分かりやすくなります。逆に成人年齢が18歳に下がったのに、結婚年齢が男性18歳、女性16歳のままだと、女性だけ未成年でも結婚できることになり、理屈のおかしさがより際立つことになります。こうして成人年齢の引き下げ議論と結婚年齢の統一議論は影響しあいながら、ともに18歳に決まっていきました。

三つの理由をあげましたが、それ以外にも、「18歳成人は世界の主流だから」という理由もよくあげられます。ただ、世界の主流に合わせなければならない理由は特にありませんので、ここでは省きました。

民法の成人年齢は多くの法律の土台になっているものです。なので、民法の成人年齢の引き下げの議論がまずあって、それの効果として選挙権年齢の引き下げや少年法の改正、結婚年齢の統一がおこなわれたと受け取りがちですが、実態は逆で、選挙権年齢の引き下げなどの議論が先にあって民法の成人年齢引き下げがあと追いしたという理解のほうが正しいと思います。

今の高校2年生は3年生になると、誕生日の来た人から順に成人になっていきます。「おとなって何だろう」と思ったときに、成人年齢が18歳になった理由を覚えておくと、少しはおとなになった気分になれるかもしれません。

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