コロナ禍2年目の学び

対面授業再開も教室に来ない大学生たち 「ポストコロナ」を示唆か

2022.01.14

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中村 正史
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大規模大学の多くは新型コロナウイルスの感染が収まりはじめた秋学期から対面授業を再開していますが、「学生はあれほど対面授業を望んでいたはずなのに、対面が再開されたらオンライン授業を望む学生が多い」「対面授業を再開したのに、学生が教室に来ない」という声がさまざまな大学であがっています。なぜなのでしょうか。オミクロン株の感染拡大が懸念されていますが、この現象の背景を探っていくと、「ポストコロナ」の大学教育のあり方が浮かび上がってくるようです。(写真は、学生が以前のようには戻っていない早稲田大のキャンパス=2021年12月10日撮影)

教室には教員と学生2、3人だけ

芝浦工業大は、2020年春にオンライン授業を始めて以降、学生に授業についてのアンケートを定期的に行っている。20年秋の調査では、授業の理解度、満足度とも約8割の学生がオンライン授業に肯定的な評価をしていたが、「総合的に遠隔、対面のどちらがいいか」の質問には、約6割が対面を望んでいた。ところが、21年度の前期が終わった後の昨年7~8月の調査では、この比率が逆転し、約6割は遠隔を望んでいる。

オンライン授業を望んでいるからといって、キャンパスに来ていないわけではない。昨年12月初旬、芝浦工業大の山田純学長を取材に行った際、校舎内で不思議な光景に出くわした。数十人規模の教室にいるのは、パソコンに向かって授業をしている教員1人だけで、その手前のオープンスペースで、学生2、3人がオンラインで聴講していた。

多くの大学では、持病があるなど教室に来ることができない学生に学びの機会を確保するため、対面の授業を同時にオンラインで視聴できる「ハイブリッド」を展開している。オンライン授業は自宅でなくても、キャンパス内でも学外でも受けることができるわけだ。

山田学長は、こう話した。

「私は現在も授業を持っていて、ハイブリッドで行っていますが、今日の午前中の授業だと、学生51人のうち、教室にいたのは22人、残りは教室外で受けています。学生はキャンパスには来ていて、別の教室やオープンスペースで受けています。教室には授業をしている教員と2、3人の学生だけがいて、残りの学生は校舎内の別の所で視聴しているのは最近よく見る光景です。友達と教え合いながら視聴できたり、飲食しながら視聴できたりするからではないでしょうか」

山田学長が注目するのは、21年度の学生調査で、1年生の7割近くが遠隔授業を望み、実験や実習が増える3、4年生は対面を望む比率が比較的高いことだ。

「1年生はオンライン授業を想定して入学しているのかもしれません。こういう様子を見ていると、今後、講義系の授業はオンラインになっていくと思います。そうすると、キャンパスの意味は何なのか、より教育効果が上がる対面の授業をどうつくっていくかが問われると思います。教室が今のようには必要ないとなれば、教育効果が上がる方向に有効活用できます」

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