学習と健康・成長

『まんが地域学習シリーズ』、ストーリーの中に込めた「問い」とは 編集者に聞く

2022.02.18

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小林 香織
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書籍『地域批評シリーズ』などを出版している株式会社マイクロマガジン社が、2021年9月にまんが地域学習シリーズを創刊。探究のテーマとして地域に焦点を当てることが多い昨今、地域学習に取り組む子どもたちも少なくありません。今回は子ども向けの地域学習まんがを創刊した意図、地域の伝統や課題を知る重要性を、同シリーズ担当編集者の岡野信彦さんに聞きました。

Nobuhiko_Okano

話を聞いた人

岡野 信彦さん

株式会社マイクロマガジン社 第一編集部リーダー

(おかの・のぶひこ)茨城県土浦市出身。大学卒業後、出版社・編集プロダクション勤務、フリーライターを経て、2018年にマイクロマガジン社に入社。都道府県や大都市の本質や問題点を探る『地域批評シリーズ』の制作に携わる。2021年9月、まんがを用いて地域を学び、「故郷のために何ができるのか」を子どもたちに考えてもらうための『まんが地域学習シリーズ』を創刊。

地域の課題を知り、解決策を考えるストーリー

――『まんが地域学習シリーズ』を創刊した背景を教えてください。

弊社では、2007年に創刊したロングセラーの書籍『地域批評シリーズ』を通して、日本各地の本質や問題点を探ってきました。現地に足を運び、人々の声を聞きながら「どうしたら地域を良くできるだろう」と考えるなかで、日本の将来を担う子どもたちにも「地域の課題」を深く知ってもらうべきだと思いました。

近年の学習指導要領でも「探究学習」が重視されていて、探究のテーマとして地域に焦点を当てるケースが多いようです。このように学校教育との親和性が高いことも、制作の後押しになりました。まんがのスタイルを採用したのは、子どもにとってのとっつきやすさ、わかりやすさを大切にしたかったからです。

――創刊号は『守ろう!みんなの東北』で第4巻まで続くそうですね。まず東北に焦点を当てたのは、なぜですか?

2021年が東日本大震災からちょうど10年の節目だったことに加えて、『地域批評シリーズ』の反響がもっとも大きいのが東北であるという点も大きな決め手でした。『地域批評シリーズ』では、けっこう辛らつな批評もするのですが、東北の人々はそれも含め好意的に受け止めてくれる。主張が強くてガンコな一面もありますが、大人も子どもも地元愛がすごく深いんです。そんな傾向を踏まえ、創刊号は東北がベストだろうと。

――確かに震災復興を通して、東北の人たちの郷土愛を感じることがありました。『守ろう!みんなの東北』では、どのように地域を学ぶのでしょうか?

1巻は「自然と伝統文化編」、2巻は「復興と気候編」と毎回異なるテーマに沿って、現状の課題を掘り下げます。メインキャラクターは、東北の各県に住む小学6年生の子どもたちで、それぞれの県の特徴を反映しています。主人公の男の子は岩手県遠野市出身なのですが、遠野といえば妖怪が有名。そこで、妖怪や不思議な話が大好きな男の子という設定にしました。まんがの中にも河童や座敷わらしといった妖怪がたくさん登場します。まんがならではのファンタジー性を取り入れることで、ストーリーに没頭しやすくなると考えました。

地域学習_1
『守ろう!みんなの東北』には、ところどころに豆知識を紹介するページが差し込まれている

もう一つ大切にしたのが、ストーリーの中に多くの「問い」を含めること。登場する妖怪たちが、現実の東北で起きている社会の不満や課題を問いとして投げかけ、子どもたちがそれに答えます。子どもたちが自分の考えをしっかり伝えることによって、妖怪たちが成仏するという設定です。

「どうしたら環境破壊の問題を解決できるか」「なぜ伝統文化がすたれてきているのか」といった問いに対して、読者の子どもたちにも一緒に答えを考えてほしいという思いを込めました。子どもたちならではの発想で、問いへの答えを探ってみてほしいですね。

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