「STEAM」で未来をつかむ
ストーリー・絵コンテ・演出・BGM…映画づくりで育てる表現力 聖徳学園中学・高校
2022.01.28

学習指導要領の改訂で探究や総合学習を重視する傾向が強まり、STEAM教育に取り組む自治体や学校が増えています。STEAM教育とは、どのような学びなのでしょう。専門家のインタビューや、全国の先進的な取り組みを通して考えます。今回は東京都武蔵野市にある聖徳学園中学・高校の取り組みを紹介します。(写真は映画づくりのもとになる絵コンテについて話し合う生徒たち=聖徳学園中学・高校)
「SDGs」をテーマに作品づくり
聖徳学園中学・高校(東京都武蔵野市)は「持てる知識を組み合わせ、創造的な表現ができる生徒の育成」を目指し、2018年度から、中学は総合的な学習の時間の一部、高校は情報の授業などを充て、ITを使った課題解決型のSTEAM学習に取り組んでいる。
中1の授業では毎年、映画づくりをする。2021年度のテーマは「SDGs」で、「貧困をなくそう」「海の豊かさを守ろう」など17の目標からテーマを選んで作品をつくる。
11月下旬の授業では、生徒が5人の班になり、撮影のもととなる絵コンテづくりに取り組んでいた。
映画の長さは1分半から2分程度。テーマに合うストーリーを考え、10枚ほどの絵コンテを分担して手描きし、粘土や紙を使って必要な登場人物や場面をつくり、コマ撮りしていく。BGMは流すがセリフはつけないので、セリフがなくてもわかる表現の工夫が求められる。生徒たちは1人1台持つiPadを使い、班で情報を共有し、映像やBGMをつくり上げていく。
「気候変動に具体的な対策を」という目標を選んだ班は、地球温暖化で北極の氷が解け出し、シロクマが困っている様子などを絵コンテで描いていた。「ここで氷をアップで映そう」「効果音はキーボードで弾いてみる?」などと演出を話し合い、絵コンテにメモしていく。女子生徒の一人は「伝えたいイメージを絵にするのはなかなか難しい」と悩ましそう。年度末の3月にある映画祭での発表を目指し、登場人物の粘土細工づくりや撮影、編集作業を進めていくという。