大学入試改革の「本丸」

早稲田政経・荒木一法さん「この20年で様変わりした政経学部の入試」

2022.01.31

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中村 正史
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早稲田大学の看板学部である政治経済学部は、昨春の2021年度入試で数学ⅠAを必須にし、日英両言語の長文を読解させるなど大きな入試改革を行い、話題になりました。一般選抜(旧一般入試)の改革が注目されていますが、取材を進めてみると、大半が一般入試で入っていた頃とは入試制度が大きく様変わりしていることがわかります。卒業生たちが知ったら驚くような入試の変遷を、政治経済学部の荒木一法・教務主任に聞きました。(写真は、早稲田大政治経済学部の校舎)

荒木一法

話を聞いた人

荒木一法さん

早稲田大学政治経済学術院准教授 、政治経済学部教務主任

(あらき・かずのり)早稲田大学経済学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学政治経済学部専任講師、助教授をへて現職。専門は経済理論、ゲーム理論。

4月入学800人中、一般選抜・共通テスト利用は350人

――政経学部の一般選抜の改革が話題になっていますが、取材していて、政経学部が以前とは違ってさまざまな入試方法を採り入れ、定員もかなり充てていることに驚きました。

2021年度入試の募集定員で見ると、一般選抜300人、大学入学共通テスト利用入試50人のほかに、グローバル入試が海外就学経験者40人と外国学生20人の計60人、指定校推薦約90人、9月入学の英語学位プログラム100人があります。これに若干名の各種入試(社会人、学士、海外指定校、ダブルディグリー)と、附属・系属校からの内部進学が加わります。

21年度入試から募集定員が変わり、一般選抜は450人から300人に、共通テスト利用入試は75人から50人に、グローバル入試(海外就学経験者)は50人から40人に減りました。英語学位プログラムの拡大と文部科学省の定員厳格化により、全体の募集定員を200人程度減らす必要があったためです。

――政経学部の定員は900人ですが、9月入学の英語学位プログラム100人を除くと、4月入学は800人のうち一般選抜300人、共通テスト利用入試50人です。附属・系属校からは21年度で高等学院110人、早稲田実業70人などが進学しており、内部進学が約280人と推定されるので、一般選抜に匹敵する規模です。かつては一般入試が大半だったので、様変わりですね。

1980年代前半まで附属・系属校の内部進学は高等学院と、進学者が高等学院ほど多くない早稲田実業、早稲田高校の都内3校だけで、それ以外は一般入試でした。本庄高等学院(埼玉県本庄市)ができたのが82年で、2000年代に入って09年に早稲田摂陵中学・高校(大阪府茨木市)、10年に早稲田佐賀中学・高校(佐賀県唐津市)が開校し、早稲田渋谷シンガポール校と合わせて、附属・系属校は7校になっています。

――一般入試以外の入試方法が導入されたのは、いつごろからですか。

1992年度入試で指定校推薦を導入したのが最初で、2000年度入試でAO入試も開始しました。

指定校推薦は、地方出身者が減ってきたことに対応するのが目的です。早稲田の活力を生む根源はさまざまな人が集まることにあり、入学者が首都圏出身に偏った構成になりつつある中で、地方出身者を増やしたいという狙いがありました。当初は約130人を募集していました。

AO入試を導入したのは、二つの理由がありました。一つは、多様な学生を採るためです。大学受験が過熱する中で、細かい知識を蓄積した受験生だけでなく、違うタイプの学生を採りたいという考えがありました。

もう一つは、慶応義塾大学に帰国生向けの入試があり、当時、帰国生は慶応に入ることが多かったことです。AO入試は帰国生が受けやすい入試なので、帰国生を増やしたいという目的もありました。AO入試は当初、100人近く募集していました。

――そのAO入試はなくなったのですか。

16年度入試からグローバル入試に名称が変わりました。志願票や高校時代の活動記録報告書、TOEFLほかの英語試験結果などを提出してもらい、8月に出願、9月に選考および合格発表の日程で実施していましたが、文科省が21年度入試から総合型選抜(旧AO入試)の出願開始を9月以降、合格発表を11月以降としたため、従来のような日程では実施できなくなり、21年度入試から出願資格を事実上、帰国生に変更しました。

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