どうなる中学・高校入試

桜よ咲け! 中学受験生へのメッセージ 28回目の「2月1日」を前に

2022.01.28

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矢野 耕平
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東京、神奈川の中学受験が2月1日に始まります。その日を前に、「2月1日」に関わって28年目を迎える、中学受験専門塾スタジオキャンパス代表の矢野耕平さんが、保護者と受験生のみなさんにメッセージを寄せてくれました。お届けします。

中学入試に挑むわが子にあたたかな声を

2月1日がやってくる。

この日は、わたしたち塾講師にとって特別な意味を持つ。

東京都と神奈川県に所在する私立中学校の入試が一斉に始まる日であるからだ。

わたしは塾講師として迎える28回目の「2月1日」である。

毎年同じような学習内容を子どもたちに指導して、毎年代わり映えのしない中学入試期を過ごしているのではないか――。塾講師をそんなふうに見る人がひょっとしたらいるのかもしれないが、決してそんなことはない。「2月1日」が何回巡ってこようが、わたしは中学入試に慣れることなどない。毎度、新鮮さとともにある種の緊張感を抱いて臨んでいる。

なぜか? ことばにすると当たり前だが、中学受験の主役である子どもたちの顔ぶれが毎年違うからだ。そんな子どもたちには、ひとりひとり忘れられないエピソードがあり、何より受験生にとっては「一生に一度きり」の中学入試なのだ。

2月1日からの入試で、普段担当している子どもたちはどんな表情で試験会場へ向かうのだろうか。忘れ物などしないだろうか。普段の実力をいかんなく発揮できるだろうか。時間配分を間違えたりはしないだろうか。そんなあれこれが頭をよぎっては、こちらも何だかドキドキしてくる。毎年この繰り返しである。

入試前に説明を聞く受験生ら=2022年1月20日、千葉県松戸市の光英VERITAS中学校、真田香菜子撮影
入試前に説明を聞く受験生ら=2022年1月20日、千葉県松戸市の光英VERITAS中学校、真田香菜子撮影

ただ、そんなドキドキも保護者のそれと比較すればたいしたものではないのだろう。

わたしは2年前に長女の中学受験を「父親」として経験したが、合格発表時の掲示板の前ではそれまでにない緊張感があった。自分の入試の合格発表のほうがよっぽど気が楽ではないかとつくづく思ったのだ。

だからこそ、2月1日を目前にしたこのタイミングで、中学受験生の保護者がいかに不安に駆られているか、いかに緊張されているか、わたしもその気持ちの一端は理解できるつもりだ。

そして、人生で初めて「自らの手で未来の選択肢を切り拓(ひら)ける」機会を得た中学受験生本人は決戦を前にどのような様子だろうか。毎年のように見かけるのが、表面上は平静を装っていても、内心は緊張や不安で支配されている子どもたちだ。無意識のうちに周囲の大人を心配させまいと心がけているのかもしれない。

そんな子どもたちの本心を見抜いて、担当する塾講師たちは中学入試会場まで出向いて直接声をかけてリラックスさせようと努めてきたが、今年はコロナ禍への配慮からそのような場は設けられないだろう。だとすれば、試験会場へと向かうわが子に対して保護者がどのような声をかけるのか。これがとても大切になる。

わたしはマニュアル的に「このような声がけをしよう」とここで具体例を持ち出すつもりはない。

長年付き添ってきたわが子の性格面を熟考して、どのような励ましの声をかけるのか。保護者それぞれのとっておきの「オリジナル」をぜひ用意してほしい。

さて、わたしからは、2022年度の入試に臨む中学受験生全員にここでメッセージを届けたいと思う。わたしのことばが、保護者の方々がわが子と話をする際の参考になれば幸いである。

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