「STEAM」で未来をつかむ

ITを活用した「SHIBAURA探究」で、理工系人材を育成 芝浦工業大付属中学高校

2022.02.02

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斉藤 純江
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学習指導要領の改訂で探究や総合学習を重視する傾向が強まり、STEAM教育に取り組む自治体や学校が増えています。STEAM教育とは、どのような学びなのでしょう。専門家のインタビューや、全国の先進的な取り組みを通して考えます。今回は東京都江東区の芝浦工業大付属中学高校の取り組みを紹介します。(写真は、電子ふせんに考えを書き込み、共有して話し合う生徒たち=芝浦工業大付属中学高校)

電子ふせんでアイデアを共有

芝浦工業大付属中学高校(東京都江東区)は2021年度から、中1~3で総合的な学習の時間を増やし、「SHIBAURA探究」と名づけた授業を始めた。「これからの時代を見据え、理工系の知識で社会課題を解決できる人材の育成が必要だと考えた」(斎藤貢市・広報部長)ためだ。

理数系の教員が担当する「探究1(インフォメーション・テクノロジー)」と、英語や国語、数学の教員が担当する「探究2(グローバル・コミュニケーション)」をそれぞれ週1時間ずつ実施している。

11月中旬、中1の「探究1」を見学した。生徒たちは4人1組になり、「バスが時間通りにこない」「テーマパークで人気の乗り物になかなか乗れない」といった身近で起こるできごとをテーマに、「それぞれのできごとの最も問題だと思う点はどこか」「その問題を解決する方法は」といったことを議論した。

ITを活用した課題解決型の授業と位置づけられていて、生徒は1人1台のデスクトップ型パソコンに向かい、電子ふせんに考えを書き込んでいく。ふせんの内容はオンライン上で班のメンバーと共有し、班内で意見をまとめて発表する。

「空港の荷物を受け取るまでの時間が長い」というできごとを担当した班は、問題の本質は「荷物を受け取るまでの時間が憂鬱(ゆううつ)」なことだと定義。問題を解消するために、「受け取るまでの時間を楽しく過ごせる施設をつくる」「受け取る場所を遠くして、人の移動時間を長くする」というまったく違ったアプローチの対策を考えた。

この授業を受けた峯苫愛奈(みねとま・かんな)さんは「普段の授業とは頭の使い方が違う。一人ひとりが考えることを求められて大変だけど、それがおもしろかった」と話した。

授業を担当した数学の横山浩司教諭によると、この日の授業は考え方の「練習」だ。最終的には洗濯機やテレビなど家電製品の問題点や改善の方法を見つけ、未来の製品を創造することを目指すという。

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