「STEAM」で未来をつかむ

STEAM教育、「A」の実践例を見る 東京大、熊本県立宇土中学・宇土高校、武蔵野美術大

2022.02.04

author
斉藤 純江
Main Image

橋づくりで身につく教科横断の知識

熊本県宇土市の県立宇土中学・宇土高校は2016年度から、美術に軸足を置いたSTEAM 教育に取り組んでいる。美術科の森内和久教諭が「美術やデザインが社会や産業といかに密接にかかわっているかを伝えたい」と始めた。

11月下旬の授業では、中3の生徒が10人1組で、紙で橋の模型をつくり、耐荷力、重量、デザインという三つの観点で、できばえを競った。橋は全長50センチ、幅9センチ。耐荷力は約2キロの重りに耐えることが条件で、重量は軽いほど高得点になる。優勝した班の班長、今井萌絵(もえ)さんは「軽くて強い構造の橋をつくるため、大学の先生や土木の専門家にヒントをもらい、インターネットで調べ、試行錯誤しました。協力してものをつくり上げる難しさも学びました」と振り返る。

森内教諭は「橋づくりは、理科のてこの原理や数学の展開図の知識、環境に調和するデザイン力など、様々な教科と関係している。生徒が課題を発見し、問題解決していく主体的な学びにつながっています」と話す。

武蔵野美術大(東京都小平市)は、小中高校の探究的な学びやSTEAM教育との連携を深めようと、21年5月に「教育共創ラボ」という組織を立ち上げた。「創造的思考力」を伸ばす高校生向けのワークショップや、探究をテーマにした教員向けのシンポジウムの開催などを目指している。

21年夏には高校生向けに、未来の教育について発表し合うオンラインのワークショップを開いた。同大大学企画グループの河野通義さんは「美術やデザインを通じて養われる考え方やものの見方、発想力が、現代の社会課題を解決するうえでも役立つことを伝えたい」と話す。

バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ