わが子を算数・数学嫌いにさせない習慣

1cmを100回2倍にした距離の驚きの長さとは?

2022.03.18

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芳沢 光雄
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算数や数学は、公式や解法を暗記し、数字を当てはめて正しく計算できれば、正解にたどり着ける――。パターン化した入試対策の影響か、受験生はそんな「暗記数学」のわなに陥りがちです。人工知能(AI)が急速に普及するなか、今後求められる算数・数学の力とはどんなものでしょうか。数学者で、小学生から大学生まで幅広く数学の面白さを教えてきた桜美林大学リベラルアーツ学群の芳沢光雄教授が、「AI時代に必要な数学力」を説きます。(タイトル画:吉野紗月)

指数や対数を使わずに計算しよう

私は1990年代半ばから全国の小中高校生対象の出前授業を、のべ200回ぐらい行ってきました。現在はコロナの問題で中止していますが、コロナが収まったら再開しようと思っています。生徒の皆さんに喜んでもらった話題は、「誕生日当てクイズ」「あみだくじの仕組み方」「じゃんけんの有利な方法」などたくさんありますが、今回お話しする「同じ数を掛け合わせるときの驚きの結果」についても、生徒の皆さんにとても喜んでもらいました。それは、こんな内容です。

「1cmを倍にすると2cm、2cmを倍にすると4cm、4cmを倍にすると8cm、8cmを倍にすると16cmですね。1cmを次々と4回倍にしたら16cmになるのです。それでは1cmを次々と100回倍にすると、どのくらいの距離になると思いますか」と質問します。そして、「東京から大阪ぐらい」「日本からアメリカぐらい」「地球から月ぐらい」「地球から太陽ぐらい」「地球から太陽よりもっと遠く」の選択肢の中から正解と思うものを選んで、挙手をしてもらいます。

正解は「地球から太陽よりもっと遠く」ですが、これに挙手する生徒はほとんどいません。その距離は、「宇宙の大きさ」と言われる470億光年よりも長くなります。ちなみに、1光年とは光の速さで1年進んだ距離です。その速さで470億年進んだ距離よりも、「1cmを次々と100回倍にした距離」の方が長いのです。

以下、そのようになる訳の概略を述べます。なお、高校の数学で学ぶ「指数」と「対数」を用いると、もっと簡単に分かることを付け加えておきます。

まず、求める長さは1cmに対し、2を100個掛け合わせた次の長さです。

1cm×2×2×2× … ×2×2×2(2が100個)

いま、2を10個掛け合わせた数を求めると、

2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=1024

となり、これは1000より少し大きいです。そして、2を100個掛け合わせた数は、2を10個掛け合わせた数を10回分掛け合わせたことになるので、

2を100個掛け合わせた数>1000を10個掛け合わせた数

すなわち、

2を100個掛け合わせた数(cm)>1000 … 000(cm) …①

が導かれます。なお、①の式の右辺は、1の後に0が30個ある数に(cm)が付いたものです。

一方、光の速さは秒速約30万km、1日は60×60×24秒、1年は約365日なので、

470億光年= 30万×60×60×24×365×470億(km)

となります。もちろん、

1km=1000m=100000cm

です。これを基にして電卓を用いて計算すると、

470億光年=44465760000000000000000000000(cm)

となります。なお、上の式の右辺は、4446576の後に0が22個ある数です。

以上から、

2を100個掛け合わせた数(cm)>470億光年 …②

が分かるのです。

【問題】 上の説明の最後の部分で、②の式が成り立つことを説明しましょう。

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