国語のチカラ ~「読み、書き、表現」アップの鉄則~
22年度中学入試分析(前編) 表やグラフを読み取る
2022.02.17

多くの国立・私立中学校の国語の入試問題では、文章を読み取って答える読解問題が配点の8割くらいを占めます。残りは漢字などの知識問題です。この形式が大きく変わることはありませんが、大学入試改革の影響もあり、ここ数年、読解問題に新たな傾向が見られます。今回は、今年1月に実施された入試問題から、表やグラフを読み取る問題を紹介します。
表やグラフなどの資料を読み取って考えさせる問題は、公立中高一貫校の適性検査ではよく出題されています。私立中学の国語入試問題では、数年前から見かけるようになりました。全体から見ると出題数は少ないものの、今年1月に実施された入試では複数の学校が出題しているのを目にしました。
資料から読み取ったことを述べさせる問題では、思考力と表現力を見ることができます。国語のテストとして出題する以上、文を正しく書く力も重視していると考えられます。どのような問題が出ているかを見ていきましょう。
資料から読み取れることを答える
まず、示された表やグラフから読み取れることを問う問題についてです。大宮開成中学校(埼玉)の問題を見てください。

設問文や注意事項をしっかりチェックすることが大事です。「日本の空き家数の変化に着目」して「主語を明らかに」して答えるのですね。数字の表記の仕方も例のとおりにします。
40字程度(解答欄は45マス)というのは、記述問題としては少なめの字数ですので、漫然と書いているとすぐにマス目が足りなくなります。問題用紙の余白にさっと下書きをしてから書くとよいと思います。
「一九七三年に二百万戸だった空き家数は、二十年後には二倍、四十年後には四倍に増えた。」(41字)というようなことを書けばよいでしょう。
事実と関連づけて理由を答える
次に、資料から読み取れることを説明すると同時に、その理由についても考察させる問題です。春日部共栄中学校(埼玉)の問題を見てみましょう。


問一は、まずプラスチックごみが65.8%を占めていることを答えるとよいでしょう。難しいのは、その理由づけです。自分の考えを述べる問題ではあっても、単なる思いつきで答えるのは避けたいものです。プラスチック製品が日常的に消費されているという事実と関連づけて答えるとよいでしょう。
学校発表の解答例は、「漂着ごみの約七割をプラスチックごみがしめているが、プラスチックはペットボトルや弁当の容器など、私たちの生活で手軽に使われ捨てられやすいものだから。」です。
問題の解決方法を考える
問二は、実現できそうなことを具体的に書くのがコツです。小学生は具体例を挙げることが案外苦手です。でも、プラスチックごみの問題について予備知識があったり、考えたりしたことがあれば、楽に書けそうですね。
プラスチックごみによる海の汚染については、子ども向けの新聞でも何回か取り上げられています。たとえば、朝日小学生新聞2021年4月22日付1面「プラごみ 深海にもたくさん」の記事は、「ペットボトルの飲み物をひかえるなど、一人ひとりが行動を変えていくのが大切」と締めくくられています。そのまま答えにできますね。
学校発表の解答例は「『飲料用ボトル』が漂着プラスチックとして多いが、これを減らすために、普段の生活で水筒を使うなどごみが出ないよう心がけるべきだ。」です。
以上のように、表やグラフの読み取り問題では、そこから読み取れる特徴を正確に書く力や、その原因を考察して表現する力が求められます。具体例を挙げて説明する練習もしておくとよいでしょう。
また、社会で起きていることがテーマになることもあるので、日頃からニュースや新聞で情報を得るようにしておくと安心です。