コロナ禍の入試 2年目の教訓
感染急拡大の中学受験 不安のなかで支え続けた母親の思いは
2022.02.18

2022年の中学受験シーズンは、新型コロナウイルスの感染が急拡大するなかで本番を迎えました。感染症対策だけでなく、これまで以上にメンタル面のケアも必要となるなか、受験生とその家族は、本番までの日々をどのように過ごしたのでしょうか。首都圏と関西に住む母親に聞きました。(写真は、試験前に検温を受けるため行列をつくる受験生たち=2022年2月1日、東京都練馬区、福留庸友撮影)
家族も感染対策徹底、父親は自家用車で通勤
埼玉県内に住む女性(51)は「どうやって無事に試験会場に連れて行くか、それだけを考えた日々でした」と振り返る。長男は埼玉と東京の計9校を受験、第2志望の男子校に進む。
年明けから学校を休み、感染対策のため「かわいそうなくらい引きこもらせた」という。
新型コロナウイルスは、本人が感染しなくても、家族が感染して濃厚接触者になると、受験に影響する恐れがある。このため、会社員の父親は1月ごろからは満員電車を避け、自家用車での通勤に切り替えた。この頃からは仕事でも人に会わないようにしたという。
1月10日、埼玉県内の受験が始まった。この頃は「まだ、気を付ければなんとかなるという感覚でした」。4校を受け、いずれも合格した。
だが、そこから感染は急拡大していく。1月22日には東京都内の新規感染者数が1万人を超えた。感染者や濃厚接触者向けの追試を実施することを決める学校が相次いだのもこの頃だった。受験を予定する学校のウェブサイトを毎日のように見て情報を集めた。女性は「本当に受けられるのかなと不安が募りました」と振り返る。
2月1日から4日まで、東京都内の5校を受験した。「電車に乗せるのが一番怖い」と、自宅から遠い学校の受験が続く日にはホテルにも泊まりながら乗り切った。通勤ラッシュを避けるため、早朝6時ごろの電車で出発し、学校近くでゆっくり朝食をとったこともあった。
コロナ禍では、経済的に追い込まれた家庭も多い。息子の同級生にも、中学受験そのものを断念したり、公立校に絞ったり、苦しい選択を迫られたケースがあったという。「私たちは幸運にも、子どもが受けたい学校を受けさせることができた。それが一番でした」と話す。