学習と健康・成長

VR学習に高い満足度 N高・S高に聞く「メタバース」の効果 課題は「酔い」とポリシーの理解

2022.03.03

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小林 香織
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角川ドワンゴ学園N/S高等学校では、2021年4月から本格的に「VR学習」を導入。昨今話題の「メタバース」で授業を受けるほか、アバターを活用したスポーツやゲームなどの交流も盛んだといいます。VR学習や交流の効果と課題について、S高等学校の吉村総一郎校長とN高等学校でVR学習を受講中の横見賢一さんに聞きました。(写真はVR運動会を開催したときの様子=角川ドワンゴ学園提供)

Soichiro_Yoshimura

話を聞いた人

吉村 総一郎さん

角川ドワンゴ学園S高等学校 校長

(よしむら・そういちろう)1982年生まれ、東京工業大学大学院卒。製品設計支援システム、ニコニコ生放送の開発リーダーを経て、2016年にN高等学校、及びN予備校でプログラミング講師に。N高等学校副校長を経て、2021年4月よりS高等学校の校長に就任。書籍『高校生からはじめるプログラミング』の著者。

オンライン学習の弱点を克服できる「VR学習」

角川ドワンゴ学園N/S高等学校(以下、N/S高)では、2021年4月に選択性のVR学習を導入。現在、約4,200名が受講しており、新入生の約37%がVR学習を選択しています。導入の背景には、「小さな画面越しでは集中しづらい」、「対面でのコミュニケーション能力が身に付きづらい」、「運動不足になりがち」といった、これまでのオンライン学習における課題がありました。

「メタバース(※)に身を置き、その世界観に没頭しやすいVR学習は、集中力や理解力の向上に役立ちます。また、アバターによる身振り手振りを取り入れた体験学習や交流ができるため、対面でのコミュニケーション能力向上や体力づくりの課題も払拭できると考えています」(吉村さん)

※メタ(meta=超越した)、ユニバース(universe=宇宙)を組み合わせた造語で、インターネット上の仮想空間のこと。利用者はアバターを通して、仮想空間でさまざまな活動ができる

N/S高では、VR用のヘッドセット「Meta Quest 2(メタ クエスト2)」を受講生に無償貸与。ヘッドセットと自身のスマートフォンやパソコンを連携すれば、24時間いつでも任意のタイミングで学習や交流ができます。

メタバース_1
VRで数学の授業を受けている様子

さまざまな科目のVR授業がありますが、N高等学校でVR授業を受けている横見さんは、中でも社会、国語、数学でVR授業を活用することが多いといいます。

「社会や国語では、授業中に取り上げられた場所などを360度の映像で見ることができて、イメージが湧きやすくなります。数学では、立体的な映像を見ることで概念が理解しやすいと感じます」(横見さん)

そのほか、面接の練習として、ドアをノックする、一礼をして席に座る、退出するといった一連の動作をVRで実践したり、目の前に外国人がいる状況で英語のプレゼンテーションをしたり、体験を伴う学びでも多く活用されています。

メタバースでのスポーツ活動や生徒同士の交流も盛んです。毎日のように何らかのイベントが実施されており、学校主催のものもあれば、生徒が自主的に企画するものも。その際、生徒は自身で選んだアバターとハンドルネームを使って参加します。

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アプリによってアバターは異なるが、ハンドルネームは共通している生徒が多いそう

「アバターは既存のキャラクターをカスタマイズしたり、3Dソフトで一からデザインしたり、好きな姿に設定できます。なりたいキャラクターになるイメージで、男子生徒が女性のアバターを使ったり、動物のアバターを使ったりすることも。アバターには、"その人らしさ”がよく表れていると思います。ハンドルネームはお互いに呼び合うための名前で、自由に設定できます」(横見さん)

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