Think Gender

「息子は娘以上の大学に」?! 国際女性デーに考える、教育とジェンダー

2022.03.08

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越膳綾子
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3月8日は国連が定めた「国際女性デー」。女性たちをたたえ、女性の社会参加と地位向上を呼びかける記念日です。しかし、日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位(世界経済フォーラム、2021年)で、主要7カ国では最下位。教育界を見渡しても、男女の進学率の差や、女子を不利に扱う入試など、ジェンダー問題がたびたび話題にのぼります。弁護士で「これからの男の子たちへ  『男らしさ』から自由になるためのレッスン」(大月書店)を書いた太田啓子さんに、教育とジェンダーの根深い関係について話を聞きました。

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話を聞いた人

太田啓子さん

弁護士

(おおた・けいこ)2002年弁護士登録。離婚や相続などの家事事件、セクシュアルハラスメントや性被害、各種損害賠償請求などの民事事件を主に手掛ける。明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)メンバーとして「憲法カフェ」を各地で開催。日本社会の性差別と、男の子の性教育についてつづった『これからの男の子たちへ』(大月書店)は累計2万7千部を超え、韓国と台湾で翻訳出版されている。2児の母。

教育界の性差別は「合理的な区別」とされてきた

――「教育とジェンダー」と言えば、昨年、東京都立高校の入試に男女別定員があり、多くの高校で女子の合格ラインが男子より高かったことが報道されました。どのようにとらえましたか?

女子が不利になる仕組みが長年にわたって続いていて、素朴に「おかしな話」だと感じました。擁護論の中には「男子はプライドが傷つきやすいから」「男の子がくじけちゃわないように」といった意見もあります。冗談めかしていても、女性には男性をケアする役割が要求されている。そうした性差別があまりにも浸透していて、違和感を覚えない人がいることに問題の根深さを感じます。

私は、男女同数定員にこだわっているわけではありません。高校受験の合否は、シンプルに点数順で決めていいのではないでしょうか。その年によって男子が多かったり、女子が多かったりするかもしれませんが、それほど極端には偏らないでしょう。仮に偏ったとしても、それの何が問題なのか、どれくらい合理的な説明ができるでしょうか。

――医学部入試に関しては、女子受験生らに対する一律減点が2018年に明らかになりました。文部科学省は20年12月に全国81大学の医学部医学科の男女別合格率を公表し、その影響があってか、21年度入試では初めて女性の合格率が男性を上回っています。

今までは女性であることを理由に、あえて落とされていたわけですよね。こういう慣習を性差別だと言うと、すごくたたかれる風潮が社会の一部にあります。「性差別ではなく、合理的な区別だ」として、ずっと温存されてきたのです。それが差別だという認識がない人が多ければ、差別は温存され続けます。女性は医師になっても家事育児などで戦力にならなくなってしまうからやむを得ないのだという声もありました。しかし、そもそもなぜ家庭を理由にキャリアを諦める選択が女性に偏っているのかを問うべきなのですよね。男性医師は家事育児を誰かに任せることが当然の前提なのでしょうか? そういう医療界の慣行から見直すべきだと思います。

医学部入試不正問題で抗議活動をする人たち=2018年8月、東京都新宿区、山本壮一郎撮影
医学部入試不正問題で抗議活動をする人たち=2018年8月、東京都新宿区、山本壮一郎撮影

――女性がキャリアを諦めることが当然のような社会は、女子の進学にも影響するのでしょうか。大学への進学率は女子が50.9%で男子が57.7%。大学の専攻分野別に見た女性の割合は、工学15.7%、理学27.8%と、理工系に進む女性はかなり少ない傾向があります(いずれも「男女共同参画白書 21年版」から)。

最近、大学によっては理工系の学部に女子枠を設けていますね。極端に女性が少ない現状においては必要なことだと思います。いずれ女子枠がいらなくなるまで、大学側が意図的に増やしていくしかありません。

一方で、女子の進学率の低さや専攻の偏りは、家庭の影響もあると思います。ジェンダー不平等な社会への適応を前提に子育てをしていると、「女の子はそこまで勉強を頑張らなくても、高収入の男性と結婚すれば安定した生活をできる」という発想の親がいることはおかしくありません。教育という局面では、あからさまに家庭内の性差別が表れることがあります。実は、家族が無意識のうちに子どもを性差別しているケースは少なくないと思っています。

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