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なぜ臨海セミナーは「特色」に強いのか 神奈川県公立高校入試の特色検査「生きる力」から考える傾向と対策
2022.03.30

神奈川県の公立高校入試では、「特色検査」という独特の試験があります。多数の難関校で実施され、教科の枠を越えた思考力や判断力が問われます。教科書の暗記だけでは高得点を狙うことは難しく、だからこそ、しっかりと対策し、特色検査を見据えて勉強を積み重ねることで、他の受験生と差をつけられる試験でもあります。「どんな勉強をしたらいいのかわからない」「5教科の勉強だけでいっぱいいっぱい」というような悩みの声も多い特色検査。この春、公立最難関校の横浜翠嵐高校に129人の合格者を出した臨海セミナーESC難関高校受験科の飯沼徹さんを、朝日新聞社教育コーディネーターで「EduA」アドバイザーの中村正史が取材しました。
25年間『まりお先生』の愛称で親しまれている、明るく熱い数学講師。神奈川・埼玉・東京での地域責任者、教務責任者を歴任。2018年ESC難関高校受験科事業部責任者となり、2022年に念願の横浜翠嵐高校合格者数全国学習塾No.1を獲得。「受験を通して成長してもらいたい」「高校受験がゴールではない」と常に生徒たちに語り掛けている。
最難関「横浜翠嵐」の合格者数で全塾中No.1に
――神奈川県公立最難関校の横浜翠嵐高校に臨海セミナーから129人が合格しました。
全ての塾の中で初めて臨海セミナーがトップ(※1)になりました。これは、特色検査に対してしっかり対策をした、というのが一つの要因だと思います。
(※1)2022年3月、臨海セミナーが各塾のホームページに記載された横浜翠嵐高校の合格実績を集計
――特色検査は全国でも独特の試験ですね。
2022年度は19校で特色検査が実施されました。かつては各校が独自の問題でしたが、現在は市立の横浜サイエンスフロンティア高校を除いて、県の教育委員会が問題を作っていると言われています。特色検査を実施する全ての高校で出題される共通問題と、各校が選んで出題する共通選択問題で試験は構成されています。どんな問題を選択するかによって学校の特色が出る試験です。
――最近の特色検査の出題傾向は?
各校が独自で問題を作っていたとされる時代は、たとえば横浜翠嵐高校の問題はとてつもなく難しかった。記述問題が大半を占め、答えを書けても誤答か部分点になることが多く、いくら学習塾で対策をしたとしても、なかなか差がつきませんでした。結局は5教科の学力検査の得点で合否が大きく左右され、特色検査の勉強をする意味があまりなかったわけです。ところが教育委員会が問題を作成していると言われている2019年度以降は異なります。つまり、対策すべき特色検査になったということです。最近は5教科の学力試験の問題が易化し、優秀な生徒が集まる横浜翠嵐高校など難関校の入試では、平均点が9割を超えています。これでは5教科の学力試験で差がつきにくい。そのため、特色検査が合否を分ける大きな要素となるわけです。
ただ、特色検査にどれほど重きが置かれるかは、学校によって違います。各校の第一次選考を見てみると、湘南高校は「内申3:学力検査5:面接2:特色検査1」、川和高校は「内申4:学力検査4:面接2:特色検査1」という割合です。一方、横浜翠嵐高校は「内申2:学力検査6:面接2:特色検査2」です。横浜翠嵐高校が特色検査を重視していることがわかります。
対策が難しい特色検査と向き合うには
――横浜翠嵐高校の特色検査の傾向は?
そもそも横浜翠嵐高校に限らず、特色検査は対策をしづらい・されづらい試験になっています。たとえば、「低気圧の中心付近は上昇気流が生じる」という文言を暗記することも、数学の公式を使うことも、どちらも簡単です。しかし、事象については仕組みを分かった上で理解できているか。数学の公式でも、原理原則が分かった上で使えているか。一見すると、どの教科のどんな単元に関連するのか分からないような「教科横断型」の特色検査では、教科書の太字を暗記しただけでは対応が難しいのです。
横浜翠嵐高校ではいわゆる「地理」に関する問題がよく出題されています。地理では各地の特産品を覚えることがありますよね。特産品になった理由には、その土地の気候風土が大きく関わっているはずで、そこは理科との接点です。結果だけを覚えてきた受験生と、原因まで考えるようにしてきた受験生を識別しやすい。それから「水」に関する問題もよく出ますね。人間にとってなくてはならない水は、身近な存在です。その分、海や川、温度による変化など、教科にまたがった様々な切り口で問題を作れます。

グラフや図を読み取る力も大事です。設問の文章は決して長くはないですが、頭の中でグラフと図と文章を結びつけて、論理的な解答を書けるかどうかが問われます。臨海セミナーでは、グラフを使った問題の対策もたくさん行います。今年の横浜翠嵐高校の入試では、オホーツク海の海面が氷結する理由についての記述問題が出題されました。この問題も、塩分濃度などのグラフや地形の断面図を読み取って答えさせる形式です。実は、臨海セミナーの模試で、そっくりな問題を出していました。生徒たちから「できた」という声を多く聞きました。
――教科横断型の問題は、まさに今、大学入試改革が目指している方向そのものですね。大学入試でも教科ごとの知識ではなく、自分が持っている知識を駆使して問題を解決する能力が求められる傾向です。
そうだと思いますね。大学入試改革の傾向から見ても、神奈川県の特色検査は正しい方向に向かっていると思います。単なる暗記では対応できません。特色検査で出題される問題の根底は、「生きる力」というキーワードでつながっていると感じています。変化の激しいこれからの社会は、覚えたことだけでは対応しきれません。
そしてなにより、物事の仕組みが分かる時の喜びってあるじゃないですか。特色検査の問題が解けた時の生徒の楽しそうな顔は、学力試験で高得点を取った時とは、また別のように感じます。
――臨海セミナーではどのような特色検査対策をしているのですか?
繰り返しますが、特色検査は「対策を取りづらい」試験です。それを対策する意味は、入試で得点が取れればいいというだけではないと考えています。神奈川県は特色検査を「学力試験や面接では測れない総合的な能力や特性を測る検査」と位置づけています。5教科の枠外から生徒に投げかけている問いは、「本質的な問い」なんだと私は思います。だから我々は特色検査を通じて、「高校がどんな生徒を求めているのか」や「高校がどんな教育をしたいのか」、という観点の議論からカリキュラムを作成しています。

我々は「特色5回路」と呼んでいますが、具体的には、まず特色の問題を「類型化」させることから始まります。問題を見たときに「これは何の問題だ」という分類をするということです。そして、どのように頭を動かしたら問題を解く糸口が見つけられるか、というヒントになりそうな思考方法を伝えています。
学力検査と違って、特色検査は様々な知識を組み合わせ、一直線ではない、分かれ道から正解につながる道を見つけ出す必要があります。トップクラスの学力の生徒でも、訓練を積まないと解き終わりません。決められた時間の中で、急いで情報を整理することも求められます。問題を類型化し、5つの思考回路を使いこなせるようになればスピードは速くなります。また、多くの良質な類題を解くことも重要で、臨海セミナーの講座では、そのような訓練も重ねていきます。
横浜翠嵐高校を志望する中2・中3を対象にした「横浜翠嵐プロジェクト」という特別講座もあります。模擬試験で上位の成績をとった生徒に対し、1回6~7時間の講座を年4回、すべて特色検査の対策が行われます。
この講座だけではなく、日々のカリキュラムが特色検査の対策につながるような力がつく内容です。それは中3からいきなり特色検査の対策をするのが難しいからです。臨海セミナーでは、中2から各教科のカリキュラムの中に特色の要素をこっそり入れています。「ちょっと考える数学」とか「ちょっと考える英語」とか、特色検査を見据えた少し発展的な内容を混ぜています。

模擬試験の問題作成も「生きる力」の議論から
――模擬試験も作成が難しそうですね。
そうですね。先ほどお話をした通り、子どもたちに身につけてほしい「生きる力」とは何か、という議論から問題作成も取り組んでいます。過去に出題された問題の分析や、中高一貫校、筑波大附属高校、学芸大附属高校といった難関校の出題も研究しています。「身近なテーマ(野菜)」「数理的な考察」「新規知識の提示」という点で、過去に灘高校で出題された入試問題の類題が今年の横浜翠嵐高校で出題されました。難関校の求める力にはやはり共通するものがあると感じます。
一方で、特色検査は難しいといっても、学校の教科書の内容から逸脱はしていません。過去問は教科書のどういったトピックから出題されているのか、神奈川県で採択されているすべての教科書も調べ、模擬試験やオリジナルのテキスト作成に生かしています。我々が問題作成に力を入れるのは、ただ単に的中させたいからではありません。世の中に求められる人材を育て、送り出したいという思いが揺るぎない原点になっています。
臨海セミナーについての詳しい内容は、こちらのホームページでもご覧いただけます
(記事:五月女菜穂 写真:松嶋愛)