「書く力」の高め方

今年の入試、「書く力」はどう問われた? 記述式問題の傾向とアドバイス、専門家に聞く

2022.04.08

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斉藤 純江
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大学入学共通テストへの記述式の導入は見送られましたが、「書く力」は中学入試や高校入試、大学入試で問われ続けています。今年の各入試の記述式問題の傾向と受験生に向けたアドバイスを、専門家に聞きました。(写真は大学入学共通テストの試験開始を待つ受験生=2022年1月15日、鹿児島県の鹿児島大)

中学入試 二つの文章を読んで記述で答える出題も

首都圏の中学入試の国語の問題に詳しい森上教育研究所「親のスキル研」講師、小泉浩明さんによると、首都圏の国立・私立中の国語の問題のうち記述式は全体の2割程度で、例年と同程度だったという。

個別の問題では、二つの文章を読んで記述式で解答する出題があったことに注目する。たとえば、国学院大久我山中(東京都杉並区)では、同じ著書の別の章から引用した二つの文章を読み、傍線部を45字以上50字以内で説明するよう求める設問があった。

複数の文章や資料から解答を導き出す出題は、昨年から始まった大学入学共通テストでも見られる特徴だ。「このタイプの問題は、きちんと読めて理解できなければ解けないので、そもそも難易度が高い。今年は選択式で解答する問題が多かったが、来年以降は記述式が増える可能性があり注意が必要です」(小泉さん)

グラフや絵を示して考えさせる教科横断的な問題で、記述での解答が求められた例もあったという。大宮開成中(さいたま市)では、1973年から2013年にかけての日本の空き家数の推移をグラフで示し、そこから読み取れることを40字程度で書くよう求めた(下の問題)。

大宮開成中入試問題
大宮開成中の入試問題

具体例や経験をあげて説明させたり、考えや想像したことを記述させたりする問題も例年、複数の学校で出題されているという。フェリス女学院中(横浜市)では、対話について書かれた文章を読み、「あなたがだれかと会話ではなく対話したいと思う関心事と、その関心事についてのあなたの意見を二百字以内で書きなさい」という出題があった。

入試の難易度が高い学校ほど記述式の割合が高い傾向にあるといい、小泉さんは「記述式が過去に出題された学校を受験する場合は、出題傾向に合わせて自分の考えを書き、問われていることに対して『~だから』などの適切な表現と内容で答える、といった訓練が必要です」と助言する。

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