学習と健康・成長

保護者の動揺が子どもに与える影響 「“妄想”に子どもを巻き込まない」

2022.05.09

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ゆきどっぐ
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中学受験では子どもよりも保護者の方が模試の結果に一喜一憂し、焦りを感じることも多いのではないでしょうか。ベストセラー「反応しない練習」(KADOKAWA)の著者で、僧侶の草薙龍瞬さんは講座などで中学受験を控えた保護者と巡り合う機会が多いと言います。保護者の動揺から生じる子どもへの影響と、冷静でいられるコツを聞きました。

Ryushin_kusanagi

話を聞いた人

草薙 龍瞬さん

僧侶・著述家

(くさなぎ・りゅうしゅん)奈良県出身。中学中退後、16歳で家出し、上京。高卒認定試験を経て、東京大学へ入学。同大学法学部卒業。インドで得度出家後、ミャンマー、タイに修行留学。ビルマ国立仏教大学専修課程修了。興道(こうどう)乃里代表。著書にベストセラーとなった「反応しない練習」(KADOKAWA)、「大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ」(海竜社)など。仏教を宗教としてではなく、現実の問題解決に役立つ合理的な方法として説いている。

子ども以上に中学受験が自分事になっている

――中学受験では保護者が子どもの成績に焦りを感じたり、喜んだりと感情の幅が大きくなることも。そういう保護者の動揺は、子どもにどんな影響を与えると考えられますか?

子どもの成績で動揺する保護者は、子ども以上に、中学受験が自分事になっていることが多い様子です。特に今の時代の中学受験の盛り上がりは、個人的には不思議というか、やはり疑問です。というのは、親が入れ込めば入れ込むほど、失敗の可能性が高まると思うからです。

――失敗の可能性、ですか?

そうです。ここでの失敗には、2つの意味があります。1つは目先の受験が失敗すること。もう1つは志望校に合格した後に、子どもが伸びなくなることです。

子どもの中には、中学受験の意味がよくわからない子もいます。親や塾の言いなりで勉強の意味が分かっていない子どもいるし、親が言う「よき将来のため」というのも想像できません。子どもにとって一番気になるのは、親の顔色・機嫌なのです。だからこそ、保護者が先回りしてあれこれ考えたり、期待を膨らませたり落ち込んだりすると、その姿に子どもは強烈に反応してしまうのです。

この反応は、勉強に役立たないどころか、阻害してしまいます。親は応援しているつもりでいて、実は子供の足元をグラつかせているのです。知的能力を育てるには、フラットな心で集中すること。だから親が過剰に入れ込むことは、まったく役に立たないのです。

小学生くらいの子どもは、親にまだ自分の気持ちを伝えることができません。言葉が未発達なうえ、端的に親が恐いということもあります。親の前では勉強して見せても、ストレスや迷い、親の顔色を気にしてプレッシャーを抱えている子もいます。こうした子の中には、受験直前に心が逃げて一気に崩れてしまうこともあります。不合格に保護者が落胆しているのを見たら、罪悪感やトラウマを持つ子も出てきます。

さいわいに志望校へ合格できたとしても、燃え尽きてしまったり、勝手に喜んでいる親に反発や軽蔑を感じる子もいます。こういう子は、無気力になったり、小さなつまずきに動揺したりします。逃げるのはスマホやゲーム。

親の期待に反して、入学後にまったく勉強しなくなることは、意外に多いのです。中学受験に乗れる子、志望校に受かる子と、乗り切れない子、親との関係がこじれていく子の比率は、どれくらいか。案外後者も高いかもしれません。まさに親の思惑が裏目に出てくるのです。そんな可能性も、ちゃんと考えたほうがいいかもしれません。

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