親と子のコミュニケーション術

「もう行きたくない」子どもが習い事に行き渋り、どうすれば? 専門家がアドバイス

2022.05.19

author
大橋 礼
Main Image

せっかく始めた習い事なのに、子どもが「もう行きたくない」と言い出したり、適当な理由をつけて行き渋りをしたりすることは珍しくありません。その際、何とか続けさせようと説得を試みるもうまくいかなかった、という保護者も多いのではないでしょうか? 今回は子どもの習い事への向き合い方に悩む保護者の声を交えつつ、専門家によるアドバイスをご紹介します。

習い事を嫌がる理由を聞いてもハッキリしない!

埼玉県在住の酒田さんは、数ヶ月前から小学校3年生の長女がピアノレッスンに行く前になるとグズグズし始めるのに手を焼いていました。

「何かと難癖をつけて行くのを嫌がります。行きたくない理由を聞いても『別に』としか答えない。『じゃあやめるの?』と聞くと、『ママがそう言うなら』と答えるのです」(酒田さん)

酒田さんとしては、せっかく幼稚園から続けてきたピアノですからやめさせたくない、もしやめるのだとしてもきちんとした理由を知りたい。何度か話し合いをしましたが、長女は「どっちでもいい」と、のらりくらりとした態度しかとりません。

子どもが習い事をやめたい理由を話してくれない時、保護者はどう対応すればいいのでしょうか。日本キッズコーチング協会認定トレーナーであり、ご自身も英語教室を主催し、多くの子どもたちを指導してきた三浦ヒロコ先生によると、「まずは子どもの今の気持ちを受け止めることが大切」と話します。

「保護者としては『前は楽しそうに行っていたのに、なぜ?』と過去の状態を持ち出してお子さんに問い正したくなるものです。しかし、お子さんは"今"行きたくないわけですから、過去の話をしても仕方ありません。今の気持ちを聞くためには、最初に『そうか、行きたくないんだ』とそのまんま、お子さんの言葉を受け止めましょう」(三浦先生)

習い事_1
日本キッズコーチング協会認定トレーナーの三浦ヒロコ先生

酒田さんは「お母さんが言うなら」と自分にやめる・やめないの決断を委ねる長女の態度にも苛立ちを感じています。しかし三浦先生は、その裏に親が無意識に子どもをコントロールしてきた経緯があるのではないかと推考します。

「子どもが選択しているようで、実は親が無意識に答えをリードしていることがよくあります。たとえば『AとB、どっちにする? Aはどう?』と聞いて、子どもが『うん』と答えると、親は『子どもがAだと言っている、子ども自身が決めたことだ』と言うんですね。あるいは、もし子どもがBだと答えても、『本当にBでいいの?』と返してしまう。これは親が子どもにAという回答をさせるような誘導をしており、実質的にはお子さんに決めさせていないのです」

子どもは敏感に保護者の希望を察します。親の期待に答えたいと考え、親が望んでいる通りに答えないと怒られるかもしれないと思い、本音を飲み込んでしまう。このようなことが続くと、自然と子どもは自分の気持ちを表現しなくなり、今回のケースのように「ママがそう言うなら」と保護者からすると、煮えきれないともとれる態度を見せることが多くなってしまうのだとか。

キッズコーチングは1つずつ階段をのぼるように心の成長を促し、自己肯定感へとつなげる子育てアプローチの1つ。三浦先生は習い事をやめるかどうかという場面を「成長ステップを一段登るチャンス」と捉えて、以下のように助言します。

「お子さんはちょうど3年生、自立心が育つ時期です。お母さんの希望に引き寄せようとしないで、お子さまの気持ちをそのまま受け止めて、自分の意見を言える関係作りに力を注ぐとよいでしょう。そして理由がわかり、本人がやめるにせよ続けるにせよ決断したら、本人の意向を受け入れてあげてほしいですね」(三浦先生)

新着記事